Steam版「RoboCop : Rogue City」が配信開始。日本語字幕対応

1980年代の映画「ロボコップ」を原作としたFPS「RoboCop : Rogue City」がAlex Murphy Edition(DLCを収録した豪華版に相当)の早期アクセスに続き、通常版でもプレイ可能となる本配信を迎えた。

日本語字幕対応。英語のままになっている場合は、メニューから「OPTIONS」→「GAMEPLAY」→「Language」をJapaneseに切り替えてAPPLYを押せば変更可能だ。

ゲームは「ロボコップ2」と「ロボコップ3」の間となる時系列でオリジナルストーリーが展開、テレビ局へのギャング占拠事件へと出動したロボコップ(アレックス・マーフィー)だが、そこで記憶がフラッシュバックする誤作動を起こしてしまう。署に戻り新たな現場へと向かうロボコップだったが、そこで思わぬ人物と遭遇する。

システム自体はステージエリアを自由に散策してミッションをクリアしていくFPS。基本的にはマップ上に示された主目標の地点まで歩いていくことになるが、寄り道をすると違反駐車の車を取り締まったり店先で騒いでいる不良たちを立ち退かせるといった軽犯罪の取り締まりから、殺人事件の容疑者確保や立てこもり事件の解決といった本格的な事件まで解決していくこととなる。また、道中で対面する人物たちとの会話の選択肢によって結末が変わるストーリー分岐もあるようだ。

Steamの説明文では「オープンワールド」という表記が使われているが、一般的に想像するオープンワールドのマップとは比較にならないほど1チャプター中のマップは狭い。おそらく「龍が如く」に出てくる神室町より狭い。

更に街中をある程度歩けるといってもインタラクトできるオブジェクトはほぼないし、銃撃は戦闘シーンのみでしか行えない。猫が寝ていることが多いのに撫でるという動作すら用意されていない。本当に職務を全うすることだけをプログラムされたロボコップだ。

戦闘シーンはロボコップを忠実に再現されていると言っていい。ズーム(ADS)動作を行うとあの容疑者に縁がついて強調される表示が行われる。

なんとジャンプやしゃがみといった他のFPSにある基本動作すら行えない。それどころか走り動作すら歩きかの様な移動速度だ。スキルをアップグレードすればダッシュが行えるようになるが単発式で再使用まで待たなくてはいけない。

勿論金的ショットもあり、股間を撃ち抜くと通常とは違うやられモーションとなりクリティカルヒット判定になるぞ。犯罪者の子孫は残すな!

 

ゴア表現もあり両手足や頭部が吹き飛ぶ欠損も発生するが、肉片が飛び散るものの何か角ばった質感だし欠損断面部分も作りこまれていない様子で、過激なようで違和感が拭えない中途半端な仕上がり。

 

戦闘シーンのみならず個々の演出や小ネタもよくできている。警察署の駐車場で急勾配過ぎて車高から火花が飛び散る出入口、近未来と称しているのに小物類はあえてブラウン管テレビ・VHS・5インチフロッピーとか今どきの人間が見てなにこれ?としか思わない代物の数々、デジャブしか感じない展開など。

 

 

ゲームエンジンUnreal Engine 4ではなくUnreal Engine 5を採用しているようだ。エンジンの特徴となっている「Lumen」が適用されており、反射の表現は美しい仕上がりとなっているが、モーションはぎこちなく、テクスチャもそこまで高解像度の物を使用しているわけではないのでじっくり見ると荒さが目立つもののあり、次世代感はほとんどない。晴れの日が続くのに路面が土砂降りだったかのように水たまりができているが、モデルそのものの粗さを情報量で誤魔化して綺麗にしているためだろう。マップが狭いのと、建物内に入る際にもロードによる暗転があるのが旧世代のゲームという印象に拍車をかけている。

先月から配信されていた体験版ではパフォーマンスが心配されていたが、製品版では最適化が進んだ印象。上記のLumen反射のクオリティを上げる設定が追加されたにも関わらずそれを有効にしても体験版よりフレームレートは下がらなくなっている。

Core i5 12600・DDR4-3200 メモリ32GB・GeForce RTX 3060 Tiの環境で1080p・最高設定時にほぼ55fps、DLSSかFSR 2.2をクオリティ設定で有効にすれば常時60fps以上。機械学習やアップスケーラ系のアンチエイリアスを適用していても元から大きくフレームレートが低いわけではないので適用しても大きく画質が下がる様子がないのは良い。

 

ロボコップになりきる雰囲気ゲーとしてはいいんだけど、単体のFPSゲームとしてみるとPS3 / Xbox 360時代に出たタイトル群を思い起こさせる内容で古臭さすらある。

海外の商業レビューだと6~7点をつけるところが多いが、確かにFPSとしてみるとその点数が妥当。だが、購入層的には原作を再現さえできてればいいので点数が上がり8~9点というマスコミとユーザー間で評価が変わる古典的な現象が発生する。