日本でのLinuxの始まり (FM TOWNS用Linux)

FM TOWNSエミュレータ津軽」が最近のソースでFM TOWNSLinuxに対応し始めた(既存のTOWNSエミュ「うんづ」は動かない)ので動作確認をしてみた。

動作確認に使用したのは1996年に出版された「Linux入門」(ヤフオクでCD未開封品が丁度出ていた)という本に収録されていたCD内のSlackware カーネル 2.0.14-rel1.0(1996, 8.22)、津軽の設定はFPUオン・CPU HIGH FIDELITY設定、XF86Configファイルを編集しハイレゾモード(orフルカラー)に切り替えとハードウェアマウスカーソルの有効化(Option "sw_cursor"のコメントアウト)、インストールとX Windows(LinuxGUI環境)の動作まで確認。まあ今更動かしたところで何一つ実用性が無い物ではある。

 

FM TOWNSユーザーだった当時は標準のTownsOSやMS-DOSでしか動かしておらず、TOWNS版Windows 3.1/Win 95(これらも「津軽」では動くようになった)やこのLinuxはリアルタイムで一切触っていなかった代物で、正直2000年以降にネットでTOWNS関係の調べものをした際に初めて知ったというにわかなんだけど、日本でのLinux史を語る上で結構重要なもののようだ。

というのもこのFM TOWNSLinuxが誕生したのは1992年、Linuxそのものの誕生(1991年)の翌年には移植され日本で利用できたLinux環境としては最速、当時日本では主流機種だったPC-98LinuxではなくFreeBSDが一般的、1995年に日本に初来日したLinuxカーネルを開発したLinus Torvalds氏にはFM TOWNSを用いてデモンストレーションをおこなったんだとか。

 

Linux/TOWNS - FM TOWNS 用の Linux の誕生について

 FM TOWNS 用の Linux は、1992/7/21に 「Linux-0.96c-PL1-TL0」を最初のリリースとして公開されました。
これは、日本において、いや、ある意味では、世界的にも Linux が、立ち上がり始めた時期です。 「1995年12月4日に京都大学で行なわれた、Linus Torvalds さんの来日講演会」(このとき、初来日)のスライドによると、 そのころ、Linux ユーザーは、すごく大雑把に見て 100 人ぐらい*だったようである。 おそらく、1992 年の間に TOWNS で、Linux を使っていた人は、十人以上は、 いたはずであり少なく見積もっても、この段階では、世界の Linux ユーザーの 10 % は、 TOWNS ユーザーと言う事になります。

なお、この Linus さん、初来日の際に JE^4 CD-ROM と FM TOWNS で CD-ROM 起動して X Window System を操作させるデモンストレーションが行われました。Linus さんも、 この様子を、御覧になっています。

 

日経XTECH - OSS勉強会「カーネル読書会」第100回,Linus Torvalds氏も来場

読書会ではまずフリージャーナリストの風穴江氏が「Linux in Japan - a brief history」と題し講演。1992年ごろFM TOWNSへの移植から始まった日本でのLinuxの歴史を振り返った。

 

そんな歴史あるTOWNS用Linux、TOWNS自体がマイナーなのでやっぱり話題になることは数少なく、エミュレータで動くようになったのはおそらくこの津軽が初めてなのでネット上で確認できるスクリーンショットも今回の記事や津軽作者の山川機長さんが上げたものが初めてというのもあって、(俺もリアルタイムでは知らなかったけど)世間ではほとんど知られていない代物なのは言うまでもない。

これもまた忘却の彼方に忘れ去られた遺物、と思われるかもしれないが、なんと今でもカーネルが更新されており、この記事を書いている2024年4月時点最新の6.8.0が公開されていたりするのだ。

ぱひなでくらてぃ:あせるかでたうんず

どどど、どういうこと・・・