Spec Ops: The Line クリア - 人生に疲れた男のblog

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※動画は画質設定を「最高」に上げるのを忘れていて、影の精度が悪かったりジャギーが出ているが、実際にはほとんどジャギーも発生せず物体の形に沿って正確に映し出されている。
久々に定価(Green Man Gamingで50ドル)で買って大満足できたゲームだった。
シェーター部分の出来はデモ版で感じたときと似たような印象かな。カバーベースのTPSで基本的に遮蔽物に隠れながら進んでいって銃撃戦を繰り広げていく。味方への指示システムも出せて、他のゲームよりも的確に動いてくれるケースが多いので、ゲームのおまけ程度の存在にならず実用性という面でちゃんと機能はしているけど、主人公が投げ込めないような箇所にまでグレネードを投げ込むことができるのでやや強力過ぎる感じも受ける。
所持できる武器は二つのみなので頻繁に武器の切り替えが発生してテンポ悪くしていると思うのと、ウリである砂嵐による視界不良の要素もほとんどイベントシーンでのみ発生するだけでAI相手の戦闘だと相手の姿が見えてない状態なのに攻撃を食らう、逆にこちら側からは見えているのに相手側は真正面にいても気づいていないケースがあるのは残念。グレネードの爆風で砂埃をまき散らして敵の目つぶしに使用することも可能だが、そもそも大体の場合は爆風で死ぬので意図的に使えるケースが少ないし、グレネードも消費して銃の弾薬も消費することになるので効率が悪すぎる。
ゴア表現は特定の武器でヘッドショットを食らわせたときに頭部破損が発生するのと、ロケットランチャーやグレネードなどが敵に直撃すると頭部だけじゃなく手足や場合によっては身体すべてが粉々になる表現がある。ヘッドショット時の頭部破損は地味であってもなくても大差ない程度と思うが、爆発物での欠損は道中で転がっている死体と相まって戦闘の悲惨さをよく表している。
マグナムやデザートイーグル、ショットガン、スナイパーライフルで頭部にヒットすれば確実に欠損が発生するようだが、アサルトライフル類でもゲーム中一度だけ欠損が発生したことがあった。ただ、クリアまでやって何度もヘッドショットを食らわせていてもその一度限りだったので、もしかしたらバグの可能性もある。
PS3やXbox 360版などの日本語コンソール版はこの部分がカットされるのが告知されているので雰囲気重視の人は日本語PC版購入した方がいいかも。

ストーリーは善悪とかそういう概念の物じゃなく、主人公たちの行動が最悪の結果を招いてしまったり、敵もテロリストではなく普通のアメリカ人の兵士、タイトル画面で流れるアメリカ国歌「The Star-Spangled Banner」やボロボロになった国旗が示してしている通り、この話は「正義のため」といって行動しているはずなのに無抵抗の人々を苦しめ更に憎悪を助長させ「誰のために戦っているのか分からなくなっている」アメリカ国家の矛盾をテーマにしている。この部分は海外レビューでも言われている通り非常に面白く、このゲームの見どころになっている。
ただネタバレになってしまうので詳しく書けないけど、最後のアレが○○だったら、道中で出てくる連中と主人公のやり取りに矛盾が生じてしまうような気がするのが残念(それ自体もなのかもしれないが)。結末でどんでん返しを狙おうとするあまりに、道中との整合性をうまくできなかったのかも。そのどんでん返しすらありきたりで予想通りなオチなのがいただけない。
また、時折プレイヤーのモラルを問われる2択の展開が何度か用意されているのだが(どちらを選んでも正解という訳じゃない)、どれを選んでもエンディングには影響せず、直前のムービーシーンが変わるだけなのは残念。エンディング自体は手前の選択肢で3種類程度用意されている。

日本語版(PC版はノーカット)は上記に書いた欠損表現とチャプター12の道中で転がっている臓器が露出した死体がカットされているとの事だけど、チャプター8のイベントシーンで比較的キツイ表現が含まれているのだがこのあたりはどうなるのか。
問題のイベントシーン画像※グロ注意
これまたネタバレとなってしまうのでどうしてこうなったかを詳しくは書けないのだが、このゲームのテーマである「誰のために戦っているのか分からなくなっているアメリカ」をよく表した象徴的なシーンであり、これをカットしてしまうと物語のテーマが薄まってしまうと思う。

TPS的には普通のカバーを使って進んでいくだけの一本道TPSゲームで、独自要素である砂嵐の要素も活かし切れていないので差別化も明確にできておらずシューター重視の人にはお勧めしにくいが、細かい荒を除いてテーマ性重視のストーリーを楽しみたい人にはお勧めしておきたい。