Steam Deck 到着。結論:PCゲーム初心者は素直にデスクトップのゲーミングPC買った方がいい。

自称プロスチーマー(死語)である自分、勿論買いましたともSteam Deck 512GB。お値段99,800円(税込)

PCゲームをどこにでも持ち運べるようにというコンセプトで海外では今年2月から、日本では12月17日より発売が開始された新型携帯ゲーム機。大きさはWii Uパッドよりも更に大きいというジャンボサイズだ。携帯の意味とは!?

中身としてはれっきとしたPCで、それにLinuxをベースとした独自OS「SteamOS」がプリインストールされ、Steam上で配信されているタイトルは大半がWindows用のプログラムしかないもののLinuxWindows用ソフトを動かす互換レイヤー(Proton)を使ってそのままWindowsプログラムのゲームを動かすという仕組み。ドライバ類も公式に配布されているので、プロダクトキーがあれば各自でWindows 10/11をインストールすることも可能。

SoCにはValveとAMDの共同開発である Zen2 + RDNA2アーキテクチャのもの、メモリは16GB、ストレージはeMMC 64GB・SSD 256GB・512GBの3タイプ、解像度1280*800の液晶を搭載している。スペックをあまり詳しくない人に単純に説明するならPS4並みの性能があるGPUに高速なCPUとストレージを搭載したようなものといっていい、PS4クオリティの映像でロードがそこそこ高速なゲームが寝っ転がって遊べるものであっている。

 

10万円もするならメインPCのアップグレードに費やしたほうがいいのでは?と自分もずっと思っているけど、買わずに後悔するより買って後悔する方がいい。

単純にデカい、グリップ感はあるとはいえ重量はある、バッテリーは1~2時間しか持たない、メインPCの方が画質もロードも良好、と東京ゲームショウの試遊で「これ、普通のデスクPCの前に椅子に座りながら遊んだほうがリラックスしながらゲーム遊べるよね?」と疑問符しかつかなかったが、いざ自分の財布からお金出して手に入れれば感想が変わるかも、という期待は一切せず購入してみました。

そして感想は・・・

うん、素直にデスクPCでゲーム遊んでいたほうがいい。

本当にバッテリーがみるみるうちに無くなるから常時電源ケーブル接続して外には持ち運ばない、とか遊んでいても解像度は低い(1280*800)し画面自体も小っちゃいなあ大型ディスプレイに映せばいいのか、とか十字キーやXYBAボタンの配置が左右より過ぎてトリガーに指の力入れるのが疲れるから外部コントローラ接続したほうがいいか、とかスクリーンキーボード入力面倒だからこれも外部キーボード用意するか、とかなんだかんだでSteamOS(Linux)のWindows互換レイヤーの再現性は低いからWindowsインストールしないといけないのか、とかってやってたらそれ何て普通のWindows デスクトップPC?となっていく。

 

Steamのゲームが遊びたいからゲーミングPC欲しいけど20万円は手が出せない、でもこれなら手が出せる、って思っている人は絶対にやめた方がいい。Steam DeckとSteamの名前がついているがSteamにあるゲームがすべて遊べるわけではない今月発売された新作タイトルですら動作確認されていないケースが多々ある。

現時点で自分のSteamライブラリには12,331本ほどゲームが入っているが、そのうちValveがSteam Deckで快適に動作と確認された緑マークのタイトルは1,120本と1割にも満たない

キーボード&マウス前提で操作性に難、大型ディスプレイを想定したフォントの大きさ、問題なく動くけど動作確認が取れていないだけ、といったものも遊べるにも関わらず"快適に動作"の分類に入らずすべてのゲーム扱いとなってしまうが、実際問題としてSteam Deckでは操作性に難を抱えていたり画面が見づらいという判定で黄色マークになっているゲームを遊んでみるとSteam Deckで遊ぶのはしっくりこないのが実感として感じられる

 

問題なく動くけど動作確認が取れていないだけ、というタイトルが多く含まれているのも問題で、動く保証はないけど動くかもしれないという希望を頼みにダウンロードしてもこれは動いた、でもこれは動かなかったとなるケースが多々ある。ゲーム機のようで(更に普通のものより)面倒なPCライクなトラブルシューティングをユーザーに求められる。

一応、自分が試した動作未確認タイトルの中ではリバーシティガールズ2」「Chasm: The Rift」は問題なく動作したが、今月に発売されたばかりのタイトルである「サムライメイデン」はロード画面の後フリーズするといった現象を確認した。

 

また、あえてSteam Deck互換テストで動作非対応と明確に表記されているタイトルについても念のためテストしてみたが、カプコンファイティングコレクション」は動作するものの時折スタッターが発生アイドルマスター スターリットシーズン」も同様にSteam Deck上で動作するものの稀にロードが止まる場面がある・フレームレートが不安定(DirectX 11設定にするとマシにはなる)になる症状を確認した。おそらくこれらが動作非対応の扱いになった要因だろう。

でもSteam Deckはタッチパネルなので、念願だったスタマスでアイドルへのおさわりがコントローラやマウスじゃなく自分から直接触れるようになったぞ。

Steam Deckで、いつでも、どこでも、スタマス。まあバッテリー持たないんで結局家でしか遊ばないんですけど。

 

 

例外ではあるけど、クローズドベータ版が開催中のストリートファイター6。ベータというのもあって互換確認はされていないものの、元々Steam Deckで動くことも前提に開発されているだろうし、Valveの関係者もプレイ動画を上げていたのでサポートは万全なはずで、Steam Deckで動かしたところ最初からグラフィック設定がDeckに合わせられたかのようなカスタム設定になっていて、画質もメインPC上で最高設定にして遊んだあとでも違和感は大きくない印象の低下具合、トレーニングモード・中華街・スタジアムステージならば常時60fps動作のまま対戦が行えた(空母・ストリートでは不安定)。一応不具合もあってゲーム起動時のREエンジンのロゴが表示しきれていないのと、タイトルメニューに戻る際にゲームがクラッシュするケースがあるのを確認したが、まだベータ版だし全くゲームが動かないわけではないので問題はないだろう。

スマホのカメラが悪くて動画自体は30fpsなのと、下手なゲームプレイなのは許して欲しいが、こんな感じで動いているという例。

 

でも画面ちっこくて見辛いし、アケコンとかも必要になってくるから結局大き目なディスプレイとアケコン繋いで据置スタイルになるんですね。Steam Deckでやる意味とは!?

 

Steamで配信されているゲーム以外も、SteamクライアントのWindows互換レイヤーを経由して立ち上げることができるのは一応利点。やり方が結構面倒なのでここでは解説しない(4gamerの記事が一番わかりやすいのでそちらを参考に)が、コンソールゲーム機のエミュレータAndroid向けにも出ていてそれなりの完成度のものがあるものの、レトロPC系のエミュレータはまだまだWindows向けのものじゃないと再現性に難があり、コントローラ以外にもトラックパッドをマウスとして使えるSteam Deckは操作性面でもうってつけ。X68000エミュレータ「XM6」とFM TOWNSエミュレータ津軽」を導入してSteamOSで動かしてみたが、両エミュレータともイメージファイル選択などのファイルウィンドウでSteamオーバーレイが一緒に表示されてしまう、「XM6」の方はフルスクリーン表示時の右クリックメニューの下階層が非表示となってしまう不具合があるものの、動作速度や再現性は大きな問題はなさそうである。

X68000エミュレータ「XM6」の動作例

 

FM TOWNSエミュレータ津軽」の動作例

 

なお、Steam Deck 256GBや512GBを購入した人はSteamアカウントにログインした後、限定キーボードテーマ(512GBのみ)やSteamプロフィールアバターもらっておくの忘れずに。
本体右下「・・・」ボタン押して通知を表示すると取得画面に移れる。個人的にSteam Deck 512GB買った要因はこの限定アイテムもらえることに他ならない。

 

実際に購入してみてもガジェットオタか熱心なSteam信者のおもちゃでしかない印象は変わらず。ただたんにSteamにあるゲームを手軽に遊びたいと思っている人にはむしろそこら辺のゲーミングPCとして売っているもの買うよりも茨の道が待ち構えていたり、本体が安くとも周辺機器揃えていったら結局結構な金額がかかるので、安物買いの銭失いにしかならないだろう。