PS5 / Xbox Series X越えの性能を持つゲーミングPCを自作する

自分はCore i7 4790KのPCを改造UEFIなどを駆使してM2 SSDブート化したりなどして延命してきて、電源オフからの起動も数秒足らずだしゲームをやってても性能不足感を感じるシーンは極端になかったが、それでも「アイドルマスター スターリットシーズン」の最高設定(レイトレーシングオン)など一部のタイトルで一瞬だけフレームレートが60fps以下になる状況があったりともうちょっと安定して動いてほしいという不満が出てきたのと、Intelの新しいCPUアーキテクチャ「Alder Lake」世代の安価なシリーズも発売したこともあってそろそろPCの交換時期かなと思って新PCを組み立てることにした。

 

パーツ構成を考えてみたが、よくネタで言われる「PCを買うには時期が悪い」のご時世感は否めないな。CPU・メモリ・SSD・その他小物類は従来と同じ価格帯かそれ以下の水準だけど、Alder Lake世代のマザーボードだとPCI Express 5.0対応による配線の製造費や高消費電力を要求されるKシリーズ向けのVRM構成のためかミドルレンジCPUはお手頃価格なのにマザーボード込みだとハイエンド価格帯になってしまうし、GPUはマイニング需要が落ち着いても去年から価格は4~5割も上乗せされているという。1年前にGeForce RTX 3060 Tiを5.5万円(税込み)で買っておいて大正解だった。

あとPS5 / Xbox Series Xが発売したこともPC価格帯を押し上げる要因になっていると思う。旧世代の上位機種であるPS4 Pro / Xbox One Xあたりなら10~15万円クラスのPCでも上になる構成が狙えそうだが、現世代のゲーム機だとGPUの価格向上もあって20万円クラスのPCでないと全パーツにおいてゲーム機より上と確実に言える構成にできない。

PCはあくまでも多目的で使える道具であってゲーム機ではない、自分の用途もゲーム用途以外で使うことも多いのでゲーミングPCと自称するのはあまり好きじゃないんだけど、せっかく高い機械を買うのだから安い機械よりも快適に動くものじゃないと納得がいかないので今回はPS5 / Xbox Series Xの性能を超えつつそこそこの値段(安いという意味ではない)のする構成のゲーミングPCを狙った。そして選んだパーツ構成がこれ

  • CPU: Core i5 12600 (6コア12スレッド 全4.4GHz駆動) 3.2万円
  • CPUクーラー: 虎徹 Mark II + LGA1700用リテンションキット 4,000円
  • メモリ: DDR4-3200 32GB 1.4万円
  • マザーボードIntel B660搭載品(ASUS TUF GAMING B660M-PLUS D4) 2.2万円
  • GPUMSI GeForce RTX 3060 Ti Twin (旧PCから引き継ぎ) 1年前に買ったときは5.5万円
  • SSD: Sumsung 980 PRO PCI Express 4.0 M2 Slot 1TB + 2TB (ヒートシンク付き) 2.2万円と3.9万円
  • OS: Windows 10 Pro (後でWindows 11に無償アップグレード可能) 1.8万円
  • ケース:Versa H18 3,000円
  • 電源:Corsair RM 750 (750W) 1万円
  • ケースファン:背面NF-A12x25(12cmファン)、前面NF-A14 PWM(14cm ファン)2個 7,000円

合計約22.6万円(税込)となった。

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完成写真

 

PS5 / Xbox Series X越えではあるが、冷却性能や静穏性を重視しすぎたり、ゲームを何十本もインストールする癖があってSSDを2本攻勢にしたりと、ちょっと盛った構成にしているので、CPUをCore i5 12400Fに変更、マザーボードを1.5万円のものにする、SSDを1TBにだけにしてヒートシンクなしを選ぶ、OSをWindows 10 Homeにする、背面ファンはケース付属の物を使い前面14cmファンは1,500円程度の物に抑える、といった節約をすれば6万円は安くできるはずだ。価格が高騰しているGPU代を考えてもギリ税込20万以下が狙える。

 

組んだ感想としては、新PC環境は大満足な結果となった。

旧PCも8年以上前の構成、PCI Express 2.0接続とはいえM2 SSDなのでWindowsの立ち上げも数秒程度しかかからず、最新PCにしたところでゲーム以外では差は感じないだろうと思っていたが、数秒から一瞬程度に起動時間が短くなってもなんだかんだで体感で分かる差だし、CPUの差なのかHDDに入れている非インストール型のアプリですら起動が一瞬にして立ち上がる。

もちろん不満だったゲーム類で瞬間的に60fps以下になることもなくなりフレームレートの安定性は大幅に向上、Core i7 4790Kでは33~40MHz程度が実用的な設定だったFM TOWNSエミュレータ「津軽」に関しても66MHz設定にしていてもまだ動作に余裕がある速度で動く。

冷却・静穏性に関しても、旧PCのATXケースはいかんせん設計が古くて12cmファンしかつけられずストレージの取り付け位置がちょうどケースファン横でGPUへの送風の妨げとなったりケーブルの配線がむき出しでエアフローに問題があったが、新PCのケースではMicroATXとサイズが一回り小さくなっても14cmファン2個での送風となり、ストレージの取り付けやケーブルも裏面を通して行えエアフローが大きく改善された結果、負荷をかけてもあまりGPUファンの回転数が最大まで上がりにくくなった印象で静かになっている。

 

なお、ゲーミングPCの要(?)であるピカピカ光る要素は、静穏性・冷却重視でLEDなしのファンを選んだ関係上、マザーボードの右上端にあるRGBランプが虹色に光るくらいで前面の排気口やケース横のアクリル板を除いたときに申し訳程度にあるのみだ。といってもケースの装飾として全面右端を青いLEDランプバーが点灯するものがあるので、派手さはないもののちょっとだけだけどスタイリッシュ感はあるぞ。

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以下は何の参考にもならない組み立て時の一部画像

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まだCore i5 12600やIntel B660マザーボードが発売される前からケース・ファン・電源といった小物類から先に購入していったので組み立てられる範囲で組み立て。意外と前面ファンの取り付けは、エアフローを考慮して丁度よい高さと思われる位置に調整しなければならず時間が食うので先に組んでおけば時間の節約になる。

 

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マザーボードにCPU、SSDを取り付け。ストレージ上のデータを直接GPUに転送してロード時間を短縮するという新技術「DirectStorage」が登場した際、ちょっとパフォーマンスがよくなるかなと思って、ゲームインストール用に用意した2TB SSDはCPU側のPCI Expressになる上側、OSや汎用アプリインストール用の1TB SSDチップセット側のPCI Expressとなる下側に差し込んだ。なおこのマザーボードSSDヒートシンクが組み込まれていてヒートシンク付きSSD買ってしまったのでわざわざそれを取り外して取り付けることとなってしまった。ヒートシンク付きSSD買った意味が薄い。

DDR4メモリはマザーボードをケースに入れてCPUクーラーを取り付けた後のほうが安全(CPUクーラーを取り付ける際に出っ張ったメモリに接触する恐れがある)。

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3,000円程度で売られている虎徹 Mark IIにはLGA1700リテンションキットが付属せず、取り付けが行えないので注意。別パーツで出ているものを注文するか価格が上がる新リビジョンの物を購入しないといけない。

 

SATA SSD 2TBとHDD 4TBも旧PCから流用したが、Versa H18への取り付け方がわかりにくいのでちょっと解説しておく。

f:id:BCC:20220106130008j:plain2.5インチサイズのストレージなら、PCケースマザーボード取り付けパネルの前側(配線をケース背面に通すための穴が開いている箇所横)に上下に四か所づつフラスコ型の穴が開いている箇所があり、一か所だけ凸になっているので確認。ケース付属品の穴が開いたゴムマウンタにネジを通して先ほどのフラスコ型の穴と対になるようストレージ下部3か所のネジ穴に固定しておく。

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今度はケース背面からフラスコ型の穴にストレージのゴムマウンタを差し込んで、前側にスライドさせてゴムマウンタが窪みにはまるようにして固定。

ケース前側から先ほどの凸となっていた一か所にネジを差し込んでまた固定するようになる。

 

3,5インチも同じ要領で電源ユニットがあるケース下部にフラスコ型の穴があるので同じようにマウンタを取り付けてスライド、ケース下部裏面からネジを差し込んで固定という形となる。

 

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全パーツを組み込んだ完成写真。

 

あとは、ASUSのサポートサイトから念のため最新UEFIをダウンロードしてバージョンアップ、USBメモリに書き込んでおいたWindows 10最新バージョンを1TB SSD側にインストール、これもASUSのサポートサイトからダウンロードしておいたIntel B660チップセットGeForceのドライバを一通りインストールすれば設定も完了。

 

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一応、価格や安定性も考慮してOC品ではない純正のDDR4-3200メモリを購入したのだが、SPD上でも定格で3200MHz書き込みが行われているのに、自動設定だと2133MHz駆動にしかならなかったのでXMP読み込みを指定してみたら問題なく3200MHz駆動となった。パフォーマンスにそれなりに影響すると思われるので、PCを組んでみて思ったよりも速度が出ないと感じたら見直してみたほうが良いかもしれない。

 

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ついでに、CPUからGPUへの巨大データ転送を効率化するResizable BAR機能も有効化できることを確認。現状では極一部のゲーム(Forza Horizonシリーズ、Red Dead Redemption 2などのオープンワールド系)でしか働かないが、気分的にはマシン環境がアップグレードされたと感じるので新PCにする際は絶対に有効にしておこうと思ったので満足。

既にGeForce RTX 3060 TiはResizable BAR対応BIOSというものにアップデート済みだったので、マザーボードASUS TUF GAMING B660M-PLUS D4」のUEFI画面上部にある「Resize BAR」という項目を開いてそれをONにするだけで有効化した。他のマザーボードでは設定項目が別の場所に用意されていたり、「Above 4G Decoding」という設定も有効化しないといけない場合があるが、このマザーボードでは4G Decodingに関しては初期設定で有効なので問題なかった。