2万5千円でゲーミングPCは作れるか!?ビデオデッキ風ケースを使ってPCを自作、Windows 7・8のPCをWindows 10に無料でアップグレード

新年あけましておめでとうございます。

 

ハードオフに立ち寄ってジャンク品を物色していたらセンチュリーのMini-ITXケース「CF-A6719BK150」で組まれたAtomマザーボード搭載の自作PCがジャンク品として税込1650円で売られていたので、マザーボードを新品のものに取り換えて組んでみようとケースと電源のみ使う目的で購入してみました。

既にメインで使ってるPCもあるし、ちょうど4年前の正月にもドリームキャストサイズの小型PCを組んでいてこれ以上PCを増やしてどうするの、とは自分でも思うが、ただなんとなくこのビデオデッキ風のケースのデザインに惹かれてPCを組んでみたいという購買欲を満たすために買ったのだ。実用性とか関係ない。

あとは、遊びたいゲームによっては安くゲーム目的のPCを入手できるんじゃないか、Windows 7がサポート終了するけど大金を払ってPCを買い替えるほどの用途に使っていない人のために割安でのWindows 10アップグレードの選択肢の一つを提示できるんじゃないか、という実験的なお遊びをしてみるためでもある。

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 今回購入した「CF-A6719BK150」ビデオデッキ風と言ったが、本当にビデオラックに入れておいたらブルーレイレコーダーと勘違いしそうなデザインだ。

前面パネル

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ツヤツヤに反射しているプラスチックの面はプッシュ式の蓋になっており、左側の細い方を開くとUSB2.0コネクタ2か所とイヤホン/マイク端子、右側の長い方を開くとスリムドライブの光学ドライブ前面が出てくる。

 

所有しているスリムPS4を上に載せてサイズを比較。

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奥行きこそPS4よりやや短いが、厚みや横幅に関してはこのケースの方が太く、実際はそこまでスペースを取らないのに印象的には大きいような感覚を覚える。

 

それでは中身を見てみよう。

分解方法は非常に楽で、ケース後ろ側の上にある二か所のネジを外して天板を後ろにスライドするだけで開いてくれる。

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天板を開けるとまず確認できるのがスリムタイプの光学ドライブと3.5/2.5インチドライブを載せるマウンタがあり、ここも左右にある二か所のネジを外してマウンタを後ろにスライドさせれば外れ、電源とマザーボードにアクセスできるようになっている。HDDは前の所有者が別の用途に再利用したかそれとも情報流出を防ぐためなのか取り外されていた。付属していたDVDドライブはIDE接続の物で今どきのSATAポートしかないマザーボードには使えないし、IDEケーブルも横幅が広くてエアフローに邪魔になるので取り外しておいた。

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ドライブマウンタを外して電源とマザーボードを見えるようにした状態。

電源はケースに標準でついているもので容量は150W。

マザーボードIntel Atom 230搭載のGIGABYTE GA-GC230D、CPU性能は1.6GHz・インオーダー実行・シングルコア、GPUもDirectX9対応止まり、メモリはDDR2-533 2GBという、今どきのスマートフォンの方が圧倒的に高性能で、そもそもこのマザーボードのサポート対象に入っていないWindows 10はもちろんのことサポート終了まで一刻と迫っているWindows 7ですら重くて動かしたくないレベルの性能しかない。

今回はケースと電源のみ流用するのでこのマザーボードは取り外すことにしたが、IDEとパラレルポートがあるのでなにかレガシーデバイスの取り扱いが必要な場面でこのマザーが役立つかもしれないので取っておくことにしよう(とこうやって保管したり買うからゴミが増えてくんですね)。

 

このケースに取り付ける新たなるパーツ一式

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マザーボードはCPU「AMD FX-8800P」が標準で搭載されている「A10N-8800」、メモリはDDR4-2666 4GB * 2(ただしマザーボードは2133MHzまでの速度にしか対応していない)、SSDはAGI A198シリーズ SSD 512GB Type2280 M.2、あとはマザーボードに搭載されているCPUファンが五月蠅いと言われているので交換用の静音60cmファン、発熱量の多いM.2 SSDの冷却用のヒートシンク、スリムドライブをデスクトップ用の電源コネクタに接続するための変換ケーブル。

価格はそれぞれ

A10N-8800 : 税込約11000円

DDR4 8GBメモリ 税込約4000円

512GB SSD 税込約7000円

ファン 税込約900円

SSD ヒートシンク 税込約600円

スリムドライブケーブル  税込約800円

消費税込でも24,300円と3万円を大きく切る価格に抑えた。

スリムタイプの光学ドライブに関してはジャンクノートPCから移植。取り付けられるので付けたものの、今どきCD・DVDを再生する機会なんてあまりないし、OSのインストールはUSBメモリ経由、アプリインストールもすべてダウンロード販売からで、OSのインストール先であるSSDすらもマザーボードに直接取り付けられているのだからエアフローを確保する目的でもマウンタごと外してもよいくらいだ。

それでは早速組み立て。

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組み立てといっても大それたことをすることはなく、CPUが最初から備え付けなのでマザーボードに取り付けるようなものはメモリとSSDくらい、SSDヒートシンクの裏面にに熱伝導両面テープを貼ってSSDに貼り付けて、マザーボードをケースにネジ止め、電源ケーブルとフロントパネルの電源スイッチ・LEDランプ・USB・オーディオケーブルを繋ぐだけの作業で10~15分程度で完了した。

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この状態で一度標準ファンで起動するかどうかテストし問題なく電源を入ることを確認したが、案の定うるさいと評判だったCPUファンがけたたましい音を鳴らすので、購入しておいた静音ファンに換装しておいた。

ただし、ファンを固定するネジ穴が金属製のヒートシンクに直接開けられていてファンのネジを外す際に削れたヒートシンクの金属粉がマザーボード側に落ちる可能性がある。回路をショートさせないように交換後はちゃんとマザーボードヒートシンク周辺を掃除して金属粉が無い状態にしておこう。

 

OSについては壊れたジャンクノートPCで使われていたWindows 8.1のキーを流用してWindows 10をインストールする。

ここから物凄く重要なことを書くが、1年間限定で行われていたWindows 7Windows 8(8.1)のWindows 10無償アップグレードは既に終了していると言われているけど実は今からでも無償でWindows 10にアップグレードできる。また、新規にWindows 10をインストールする場合でも使用するWindows 7・8のキーがWindows 10にアップグレードされていなければプロダクトキーが付属していたPCはもちろんのこと別のPCでもWindows 10をクリーンインストールすることができる

Windows 7のサポートが1月14日に終了するということで、PCの買い替えや廃棄を考えている人もいるかもしれないが、ダメもとでやってみるのも手である。

既にWIndows 7・8がインストールされているPCをWindows 10にアップグレードするならMicrosoft公式サイトから「ツールを今すぐダウンロード」ボタンを押して、Windows 10 インストールメディア作成ツールをダウンロードして実行し、「この PC を今すぐアップグレードする」にチェックを入れて進んでいきPCさえ対応していればそのままWindows 10にアップグレードされる。

Windows 10を新規にクリーンインストールしたいなら8GB以上のUSBメモリをPCに差しておいて「別の PC のインストールメディアを作成する」を選択し、差しておいたUSBメモリにインストールメディアを作成後、新規にインストールするPCにUSBに差してUSBメモリからブートさせてインストールプログラムを実行、Windows 10のプロダクトキーが求められる画面ではWindows 7・8のプロダクトキーをそのまま入力するだけで対応するエディションのWindows 10がインストールされる。今回のPCではこの方法を利用してWindows 10をクリーンインストールすることにしてみた。

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OSのインストールも終わり、無事PCとして使える状態になったのでベンチマークと一通りゲームの起動テストを行ってみた。

 

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使用しているSSD「AGI A198」はPCI Express 3.0 x4接続だが、マザーボード側のM.2スロットがx1までの速度にしか対応していないという制約があるものの、SSDのカタログスペック通りのシーケンシャルリード:1627 MB/s・シーケンシャルライト:1262 MB/sに匹敵するスコアをたたき出しており接続には問題はない。

 

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解像度1920*1080・最高設定で「快適」のスコア5165をマーク。ただ、4年前に組んでみた小型PCのCore i3 6300が同じ設定でスコア約4700をマークしていたのであまり大きな差がベンチマークや動きからは感じられなかった。

 

ウイルスによって狂暴化した感染者達から逃げる4人協力プレイのFPS

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解像度1280*720、アンチエイリアスはMSAA 2x、他は最高設定

通常時は60fpsで遊べ、感染者が大量に出てくるラッシュ時に30fps、一瞬25fpsというフレームレートになる。

 

  • Euro Track Simulator 2

目的地まで貨物を運ぶトラックシミュレーションゲーム

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解像度は1920*1080、グラフィック設定はシンプルセッティングから「中」を選択した

フレームレートは40-50fps

 

  • オクトパストラベラー

Nintendo Switchから移植されたドット絵と3Dによる立体表現が特徴的なRPG

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解像度1280*720、グラフィック設定は「高」

フレームレートは30-35fps

移植元のNintendo Switch版も720p/30fpsとのことだったので同等のプレイ環境となる。

 

  • My Friend Pedro

喋るバナナに導かれてアクロバティックなガンファイトを繰り広げる横スクロールアクションゲーム

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解像度は1280*720、グラフィック設定は「中」

フレームレートは60fps

解像度を1920*1080かグラフィック設定を「高」にすると30fps程度まで下がるシーンが出てくる。

 

  • STATIONflow

DMM Gamesが最近Steamでリリースした地下鉄運営シミュレーションゲーム

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解像度1920*1080、アンチエイリアスは4x

序盤は60fps、駅構内がある程度広くなってくると30-40fps

 

GPUの性能自体はXbox 360の1.5倍、Nintendo Switchと同等くらいと言って差し支えないと思う。

この二機種からの移植もしくはマルチプラットフォームタイトルなら同じくらいの画質設定にして同じフレームレートかちょっと上程度の環境でゲームを動かせる。

前回の小型PCを組んだ際にテストしてみたタイトル群PSP・PS Vita・Xbox 360・Nintendo Switch専用タイトルだったのがPCに移植されたものだったら大方遊べるくらいだろう。

 

ただ、M.2 接続のSSDにOSやSteam・ゲームをインストールしているのだが、起動するまでにわずかにもたつき感があったりゲーム中のロードも極端に遅いわけではないがSSD接続の割には特別早いわけでもなく、メインPCのCore i5 4670K・OSストレージにDRAMキャッシュレスの安物SSD・ゲームインストール先はSATA接続のHDDの方がキビキビとロードが終わる感覚。

Steamクライアントとゲームを起動している最中にタスクマネージャーからメモリの空き容量を見てもまだ1~2GBは使われていない領域があって容量不足が原因のスワップが発生しているわけではなさそうで、CrystalDiskMarkベンチマーク結果でもSSDのカタログスペック通りのスコアをマークしているはずだが、古いBulldozerアーキテクチャベースのCPUがボトルネックとなってしまっている可能性が高い。

 

いくらNintendo Switchクラスの性能があって軽いゲームが遊べると言ってもそれこそ2万円でSwitch Liteを買えば同じクオリティのものが遊べることに他ならず、また中古品で妥協すればPS4 + SSDの環境の方が快適に遊べるので、ゲーム用途に絞ってしまうとコストパフォーマンスが悪くなってしまうが、Windows 7世代のCeleronPentium機を置き換える目的にするのならば最適かと思う。7がサポート終了なのでWindows 10にアップグレードしようとしてもアップグレードが正常に行えなかったりマシンが古くて動作が極端に重いが、かといって何万も払って買い替えなくてはならないほどは使用していない環境なら入れ替え案として悪くないはず。もたつき感があると自分は言っているが、あくまでもそれなりのスペックのPCと比べた際の話だし、2コアのCeleronとHDD環境のPCしか使ったことがない人なら待たされていると感じることはないだろう。