ジャンクのスーパーファミコンを修理、コンポーネント(D端子)出力・ノイズ軽減・低消費電力化・高音質化改造

メガCDPCエンジン DUO-RXbox Oneとマイナーなゲーム機ばかりを修理しているので、今回はメジャーハードである任天堂スーパーファミコン」の修理に挑戦。

調べてて思ったんだが、意外なことにあんまりスーパーファミコンの修理について書かれたblogやWeb記事って少ないんだな。壊れにくいという任天堂機特有の耐久性の高さを表す証拠ではあるんだが、流石に発売から30年近くも経過し経年劣化に勝てず映像の乱れや電源が入らないという故障が出てきている機体は割とよくある。

メガドライブ(メガCD)・PCエンジンの修理と同様、もちろんこれらの原因はコンデンサの液漏れによる容量抜けや基板の腐食によって回路が断線している状態なので、コンデンサを取り換えて腐食した回路パターンをリード線でつなぎ直せば復活する可能性大。

 

今回分解した880円で購入したジャンクのスーパーファミコン(コントローラ2個・AVケーブル付き)

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お約束通り、黄ばみや汚れが凄い

起動こそするものの電源が入らないことが稀にあり、また映像にも若干ノイズが乗っているような印象。

 

まずは分解

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本体裏側の6か所にある穴のネジを外す

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のだがこれが外側に6個の凹みがあるだけの特殊ネジで、通常のプラスドライバーやマイナスドライバーでは回すことが不可能

先の細いラジオペンチでつまんで回すか、このネジ専用のドライバを通常は使うのだが

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ホームセンターで約1,000円で売られていた「EPS-650」というドライバーセットにあるナットソケット4.0mm(セット内の一番下段、左から二番目のソケット)をはめ込み、ネジを押さえながら回せば外せた。これでも若干噛まず緩いので押し付けるのがコツ。

 

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カバーを外した後

スーパーファミコンには製造時期によって構造が変わっていっているのだが、これは初期型となっており、メイン基板とサウンド基板の二層式になっているタイプ。写真右上のグレーの金属板で覆われている小さいボックスがサウンド基板だ。上下にある二個のネジを外し上に引っ張ればサウンド基板は外れる。覆われた金属板も小さい穴に突起が引っかかって止まっているだけのツメ止めなので、隙間にマイナスドライバーを差し込んで突起を穴から外していけば外れる。

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サウンドプログラムを制御するS-SMP(6502を拡張したようなCPU)、8音のPCMを加工して出力するS-DSPサウンドプログラムとPCM音を収納するサウンド用メモリ TC51832FL-12が2枚、デジタル信号をアナログオーディオ信号に変更するDAC D6376、オーディオ信号を増幅するオペアンプ 2904、その他コンデンサや抵抗、24Mhz水晶など。

S-SMPとS-DSPに「SONY」の印がつけられているが、そう、この二枚のチップはソニー製であのPlayStationの生みの親である久夛良木健が設計したものなのだ。この縁から幻のスーパーファミコン用CD-ROMドライブの構想がソニーとの間で持たれたもののその後破談、そしてPlayStationが誕生するというのが大雑把な流れ。

 

初期型と中期以降のスーファミで内部構成の大きな違いはこのサウンド基板の二階建て式で、それ以降はサウンドチップはメイン基板に直付けとなりコンデンサの細かい変更や複数枚あったカスタムチップが数枚にまとめられるなどのコストダウンがメインとなる。

分解方法は大きく異なる点はなく、これ以降の分解方法を書いていても長くなるだけなので、下記の中期版スーファミのレストア動画が参考になる。

 

 

本体のプラスチックケースとコントローラ二個は分解してキッチンハイターを溶かした水につけて洗浄

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天気の日に3日ほど野ざらしにしたけど、黄ばみはあんまり取れないな。上の動画の様に今度からUV LEDとACアダプタを購入して紫外線照射装置を自作しないとダメそうだ。

※追記:プラスチック黄ばみには塩素系のキッチンハイターではなく、酸素系のワイドハイターを使うのが正解だった 

 

 

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メイン基板のみにした写真

カートリッジスロットより下側にCPU(65C816)、ビデオチップ(S-PPU1)、ビデオDAC(S-PPU2)、メインメモリ1枚ととVRAM2枚、

カートリッジスロットより上側にACアダプタからの9V電源を5Vに変換する三端子レギュレータ(7805)、RGB信号をコンポーネント・コンポジット信号に変換するBA6592F、サウンド基板・カートリッジスロット・本体下部の拡張スロットからの音声信号をまとめて増幅するオペアンプ LM358などがある。

電解コンデンサは少ないもののすべて面実装のものとなっており容量と耐電圧は

C57 100uf 6v (コンポジットビデオ用 カップリング用)

C58 100uf 6v (コンポジットビデオ用 カップリング用)

C59 100uf 6v (S端子 色信号 カップリング用)

C60 100uf 6v (S端子 色信号 カップリング用)

C61 10uf 16v (オペアンプ LM358 電源パスコン)

C62 2.2uf 50v (リセットスイッチ チャタリング防止用?)

C63 33uf 25v (ACアダプタからの9V電源 パスコン)

C64 33uf 25v (ACアダプタからの9V電源 パスコン)

C65 10uf 16v (左音声信号 カップリング用)

C66 10uf 16v (左音声信号 カップリング用)

C67 1000uf 25v (ACアダプタからの9V電源 パスコン)

となっている。

サウンド基板側はリード型の47uf 10Vで、シールド板で覆われていて基板からの高さが1cm未満のものでないと収まり切らない可能性がある。

 

S端子や音声信号のカップリングコンデンサをよく見てみると・・・

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ん?足が茶色く変色している?

コンデンサの端子側両サイドにフラックスをよく塗り、片方の端子に半田こてを当てて片方ずつ持ち上げて外していったら・・・

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半田を溶かしている最中にメガCDの電解コンデンサを剥がした際にも嗅いだあの独特の薬品臭が立ち込め、ランドが簡単に剥がれたり、端子の周りやコンデンサのあった真下などがフラックスの焦げ跡とはまた違う変色が見受けられる。

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アルコールを綿棒に浸して変色した箇所を噴いた後、

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ランドにハンダを盛ったり、パターンがあった場所にリード線を伸ばして補強

基板裏側にパターンを通すビア(基板上の穴)が割と大きく、コンデンサや抵抗を切った際のリード線がそのまま通るので穴に通して基板裏側で繋がっているパターン先のパーツに繋げれば簡単には取れなくなるし空中配線も楽に行える。

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赤で囲ったところがリード線を伸ばしたところ

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交換用のコンデンサには余っていたオーディオ用のニチコンFGを使用。

S端子用のカップリングコンデンサはC57とC58、C59とC60の100ufのコンデンサ二個を並列に並べて200ufの容量を確保しているようで、中期以降はここが220ufコンデンサ一個構成になっているので、今回の修理でも220uf一個ずつのみ配置した。

 

ついでに映像に流れる縦縞ノイズ軽減のためにビデオチップやRGB->コンポーネントチップのパスコンの容量を増強

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S-PPU1・S-PPU2の基板真裏にあるC91チップコンデンサがS-PPU1、C92チップコンデンサがS-PPU2用のパスコンになる。

それぞれ容量は0.1ufなのでこれを2012サイズ・4.7ufのものと置き換え。

PCエンジン DUO-R用に買っていたものがまだ余っているのでこれを使用した。

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映像・音声用カップリングコンデンサがあった場所の真裏にあるC84チップコンデンサがBA6592F用のパスコン

容量は1ufでこれも4.7ufにしておいた。

 

さらにすべてのコンデンサを交換していく。

1000ufの大容量コンデンサはPC電源用の低ESR品・他の2.2~33uf品はチップコンデンサにして低ESR化と液漏れ防止を行っておいた

 

ここまで修理や改造をして画質が変わったか確認。

修理前

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修理後

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修理後の方が色合いが若干鮮やかになっている

 

更に拡大してみると・・・

修理前

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修理後

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ドンキーの胸、影となっていて暗くなっている箇所がわかりやすいが、修理前は若干縦型にノイズが出ているが、改造後はそれが薄くなっている。

PCエンジンDUO-Rの時と違ってパスコン増量アップによるノイズ軽減は効果があった。

 

修理前にS端子ケーブルを用意できなかったので今回はコンポジットでの比較となってしまったが、この段階でも差異が出るのであればより鮮明になる映像出力方法では更に違いが出やすいことだろう。

 

更に改造は続く。

お次は高音質化でオペアンプ二か所を張り替える。

メイン基板側にLM358、サウンド基板側に2904が貼られているのだが、これが汎用品で音質も評判が悪いので、安価でそこそこな音が出るオーディオ回路用のNJM4580MDに張り替え

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4個入りで税込100円

1個数百円~何千円もするものがあるが、スーファミレベルではこれで必要十分だろう。

DMP8という小さな8ピンのICで、元から貼り付けられているICを取り外すとなるとU字状に曲げた銅線に半田を流して一気に過熱しひっぺ剥がすのが普通かと思うが、再利用もしないのでピンが折れること前提で、片方の足すべてにフラックスを塗ったあと半田を最小限まで吸い取り再びフラックスをまんべんなく塗り、細いピンセットの先をICと足の隙間に差し込んでこて先でランドを温めて残ってへばりついている半田を溶かしながらピンセットで足を曲げて基板から離していくという方法を取った。片方すべての足が基板から離れたら、反対側は全ての足を半田を流してそのままICを引き抜く。

これで十分に基板を傷つけることなく剥がすことが出来た。

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交換した結果音質は・・・

まあ前より力強くなったような気がする・・・かな・・・?

交換前の音を録音してなかったので比較できないし、本来ならばローパスフィルタも改良しておかないと差異が出にくいだろう。

 

更に液晶テレビで綺麗に映像出力が行えるようコンポーネント映像出力も追加しておいた。D端子映像ケーブルも信号そのものはコンポーネント映像(D端子のDはデジタルじゃなくてコネクタの形状の事)なので変換ケーブルやD端子コネクタを取り付ければ少し前の液晶テレビにも取り付けられるようになる。S端子やRGB端子がない液晶もD端子コネクタは割とあった・・・んだけど、最近はコンポジット含めてアナログ入力を受け付ける液晶がどんどん減ってきてるんだよな。変換アダプタでHDMIに変換する際、コンポジットよりは画質の劣化が少なくて済むはずなんだけど、スーファミコンポーネント信号は240pとかいう480p・480pと違うので入力を受け付けない変換アダプタ・液晶もあったり互換性面でも難があるのが欠点。

こちらのサイトを参考にして制作

自分でも回路図を書いてみたが、参考にしたサイトに貼られている画像の方が分かりやすかった。自分の回路では80Ωの抵抗が手元になかったので75Ωに変更、トランジスタに供給する5V電源に4.7ufのコンデンサを追加しておいた。

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それでは回路を組み込み

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見よ、このエッシャーの騙し絵みたいな空中配線を。

ちょうどよい具合に周囲に5V電源やGNDにビアが通っていたので綺麗にパーツが収まってくれた。

 

ついでに三端子レギュレータを7805からDC/DCコンバータのM78AR05に変更。

発熱が無くなり空中配線に邪魔なヒートシンクのアルミ板を除去することができ、消費電力も少なくできる優れもの。1個500円。ジャンクのスーパーファミコンよりもこの小さなパーツの方が高い。

 

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コンポーネント端子のRCAジャックも本体後方にドリルで穴を開けて確保。ちょっとジャックの高さ位置が揃わなかったが、道具も使わずドリルを直接当てただけなのでこれが限界。

下部のシールド板やサウンド基板を取り外しの際に接触しないか心配だったが、シールド板は手前を持ち上げながら引き抜けば十分ぶつからずに取り外せるようにできた。

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D端子出力も変換ケーブルを通して行える。

 

D端子ケーブルを使って液晶に映してみた。

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キャプチャーユニットがないので画面直撮りだが、問題なく映ることを確認。ただコンポジットで出力するよりは鮮明でも、元が240pの映像なので1080p液晶ではボヤけて表示されてしまうことに変わりない。

 

S端子の輝度信号を増幅もせずにそのままコンポーネント側に引っ張ってきているが、S端子出力との同時表示でも問題なく映ることを確認。

ただし、コンポーネント側の映像が若干ではあるものの色合いが黒くなる。S端子側は変化なし。

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画質の劣化や色合いが不鮮明になったというものではなく、引き締まった色使いにも見えるので特に問題はないだろう。

 

 

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どうだ

これが世界に一台しかないという高画質・高音質・環境にもやさしいというチューニングされた(初期型)スーパーファミコンだ。

でも、こんなスーパーファミコンを一心不乱に作り上げたとしても、スーパーファミコンのゲームで別に今遊びたいゲームなんて一本もないんだよね。

あっても現世代機に移植されてるとかしてるから無理にスーファミで遊び必要がない。

では、このスーファミを作った意味とは!?空中配線やDMP8チップ張り替えのノウハウや練習が溜まったから一応は有意義だったかな。

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