8002F1F9エラーを吐いているPS3を直す

一度はPlayStation 3を手放していたものの、遊んでいなかったPS3用タイトルを動かすのに不要になっていたPS3(CECH-2500A)をある方から頂いたのだが、HDDが破損していて起動できなくなっており、どうせだからとこれまた余っていた240GB SSDに換装して再アップデートをかけたところ進行度26%のところで「8002F1F9」というエラーを吐いて続行不可能となる。

もうインフォメーションセンターに問い合わせても「PS3のサポートは終了しました。PS5を買えよアホンダラッ!」とか返答がありそうなので表示された「8002F1F9」からなにか情報がないか調べたところ

どうも無線部分へ供給される5V→1.8VレギュレータICが故障して無線部分が動かなくなっているのが原因のようだ。

原因や過去の修理事例が分かり、壊れている箇所がここだけなら新しくレギュレータを増設してやれば直せる可能性が高いので早速挑戦してみた。

iFixitの記事を参考にCECH-2500Aの分解。iFixitで分解されているのは一つ型が落ちるCECH-2000A相当なのかBDドライブの構造が若干違くて接続しているフラットケーブルがドライブ真下にあり取り外しや取り付け時に慎重に作業しないといけなかったが、ネジも最小限にしか存在せずパーツも大雑把にガワ・電源ユニット・BDドライブ・シールド兼ヒートシンク・マザーボートと構造が簡単だったのでなんなく分解することができた。

取り外したマザーボード。もちろんCPU・GPUの熱伝導シリコングリスはIPAで綺麗に拭き取り、シルバーグリスを塗り直して冷却強化。ついでにCMOSバッテリ用のCR2032も新品に交換しておいた。

マザーボードをひっくり返すと無線ユニット(マザーから直接伸びている二本の電源コネクタとアンテナ線を接続するコネクタの間にあるシールドで覆われている部分)真下に、問題となるレギュレータ部分が確認できる。

最初に見つけた修理事例だとPS3最終モデル(CECH-4000以降)のようでマザーに配置された部品や回路が異なるので、CECH-2500Aの場合はどこをどうすればいいのかというと、

オレンジで囲ったレギュレータICを取り外し(必ずやらないといけないわけではないが既に故障している部品を残しておくと後で症状が悪化することも考えられるので)、赤で示した5Vの出ている電源部分にあるパスコンから1.8V部分の紫で示したパスコンにレギュレータで電源を供給すればいい。GNDはどこから引っ張ってきてもいいが、電源コネクタ端子脇にパッドが出ていたのでここから取ることとした。

使用したレギュレータ「LM1117MPX-1.8」秋月電子にて五個入りで150円。一個当たり30円だが送料(500円)の方が高くつくので他にも在庫しておく部品を注文しておいた。

実装例。

念のため下に絶縁テープを貼っておき、レギュレータのGND側を直接マザーボードとはんだ付け、INPUT(5V)とOUTPUT(1.8V)はリード線で該当のパスコン端子まで伸ばして接続した。

元からあったレギュレータは除去したが、ヒートガンが手元になかったのでミニルーターで慎重にレギュレータの樹脂を削っていき、メタル線が出てきたらフラックスを塗ってはんだを乗せたコテで加熱して除去した。もちろん、この方法は周りのパスコン・抵抗まで傷つけたり、最悪基板自体まで削って断線させかねないので絶対にお勧めしない。

 

それではこの修理でうまくいったかどうかというと・・・

無事エラーもなくアップデートが進み、起動成功。

お目当てのタイトルとは違うがPSNに接続しPSアカウントで購入済みだったタイトルを再ダウンロードできるか、動かせるかテストするために「デイトナUSA」を動かしてみた。もちろん、これも問題なくプレイ可能なことを確認。

 

実質ボタン電池代300円とレギュレータ30円での計330円で動くPS3をゲット。いや、そんなに遊ぶわけでもないから特別お得感はないが。でも、修理すること自体が趣味の自分にはよい機体だった。