スーパーファミコン Jr. S端子出力改造

1998年3月27日にスーパーファミコン用ソフト「星のカービィ3」と同時発売されたスーファミの廉価版ハード「スーパーファミコン Jr.」

見た目的には本体の小型化がなされたものだが、機能的には裏面のサテラビュー接続ポート・S端子映像出力・RGB映像出力・RF出力端子・カートリッジロック構造が撤廃されており、使う人は本当に稀なサテラビューやRF出力はともかく、カートリッジロックが無いためカセットの接触不良による起動失敗や遊んでいる最中も衝撃でゲームが止まりやすくなっており、S端子やRGB出力がないのもドットクッキリハッキリとした高画質で遊べなくなっているのが大きな難点。

だが、足りないパーツを取り付ける改造をすればS端子・RGB出力が行えるのだ。

更に、スーファミ Jr.は初期型よりもRGB出力の画質が良くなったと巷で言われているスーファミのCPUとPPU(ビデオ)2枚を1チップに集約したものが採用されており、初期型よりも画質の向上も狙える。

今回はスーファミJr.にS端子出力を行えるようにする改造方法を取り上げたいと思う。

RGB出力改造は改造に必要な信号を増幅させるアンプ THS7314(7316)の在庫が少なくなってきており、今から改造できる人が限られてきてしまうため取り上げない。

数パーツ取り付けるだけで実現できるS端子出力とは違い、RGB出力を行いたい場合は専用に売られているスーファミJr.用のRGB出力改造基板を取り付けるほうがアンプを単体で購入する労力や改造の手間が少ないと思うのでそちらをお勧めしておく。

 

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今回改造に使うスーパーファミコン Jr.

オークションで2,000円で落札。発売が1998年と既にPlayStationが市場を席巻し、任天堂Nintendo 64を出していた頃なのであまり市場に出回らなかったのか、相場は5,000~7,000円ほどと高くても数千円、下手したら数百円で買えてしまう通常のスーファミよりも割高。

電源スイッチとリセットボタンがあるだけでイジェクトボタンは廃止されており、またカートリッジもロック構造がないため電源を入れていても引っこ抜けてしまうので遊んでいる最中に本体を動かす際はカートリッジに触れないようにしておきたい、

 

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従来型のスーパーファミコンとの比較

横幅と厚みはだいたい一緒だが、奥域が3/4程度になっている。

 

まずは分解

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本体をひっくり返して4か所の穴が開いている中にあるネジを外していく。

通常のスーパーファミコンと同様に凹みがある特殊ネジなので、前回スーパーファミコンを改造する際に使ったドライバーを今回も利用。

全てのネジを外したら再び表にひっくり返し、ケースの上下を分離させるように持ち上げる。

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電源スイッチすぐ近くの基板部分の1か所、シールド板の3か所、カートリッジスロット両端の2か所、AV端子部分の1か所の計7か所のネジをプラスドライバーで外して基板を上に持ち上げる。

シールド板はカートリッジスロットの黒い溝に差し込まれているので隙間にマイナスドライバーを差し込んでテコの原理で取り外し、三端子レギュレータを放熱するヒートシンクは基板の裏側の2か所とレギュレータの1か所のネジを外して持ち上げれば外れる。

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ケースから取り、シールド板とヒートシンクも外した状態のマザーボード

 

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カートリッジスロット上側、三端子レギュレータのすぐ近くにあるチップ「S-RGB」RGB信号からコンポジット映像信号とS端子用の輝度信号・色信号を作成するチップなのだが、スーファミ Jr.だと輝度信号(S-RGBの17ピン目)・色信号(同12ピン目)のピンがどことも繋がっていない。

 

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基板裏側の(AV)マルチアウト端子半田部分

上記の写真で水色で囲った部分が輝度信号出力、赤で囲った部分が色信号出力となっている。

 

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回路は簡単

S-RGBとマルチアウトのピンの間に、カップリングコンデンサと75Ω抵抗を挟むだけ。

コンデンサは輝度信号側が220uf 電解コンデンサ、色信号側が0.1uf セラミックコンデンサを用意すればいい。

 

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取り付け例

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プラスチックケースの土台とマザーボードは囲いの板で覆われているが、カートリッジスロットの右側部分にくぼみがあるので基板表と裏のリード線を引き回す際はここを通るようにすればケースの加工や工作する必要が無くなる。

 

 

それでは画質比較

 

スーパーファミコン Jr. 標準のコンポジット出力

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今回の改造で得られたS端子出力

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コンポジット出力時に色合いが変化する箇所で見受けられていた滲みやザラツキが無くなりシャープな画質に。

 

オマケとしてコンポーネント出力が改造した初期型スーパーファミコンS端子出力での画質

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スーファミ Jr.と違って色合いが全体的に薄い印象で、シャープさもスーファミJr.の方が上。