Steamで「風ノ旅ビト」がリリース開始、7月10日まで25%オフ & 発売から二週間限定で購入すると「Flower」も無料でついてくる

 

2012年にPS3で発売され、その後PS4に移植、PC版はEpic Games ストア時限独占販売となっていたthatgamecompany制作のアドベンチャーゲーム風ノ旅ビト」(Journey)がSteamにおいてリリースが開始された。

見渡す限り砂しかない広大な砂漠を舞台に、布を羽織った「旅ビト」を操作して世界を駆け巡り謎を解いていく。文字や言葉によるコミュニケーション手段が用意されておらず、ビジュアルといった演出のみでプレイヤーが話の流れを想像する独特の世界観が特徴的なゲームとなっている。

定価1,540円のところ7月10日までの期間限定で25%オフの1,140円でセールが実施されているが、ストアページに記載されていないものの実は発売から二週間限定(6月26日まで)でSteam版を購入すると「風ノ旅ビト」と同じ開発元の「Flower」が無料でもらえるキャンペーンが実施されている。

スーパーファミコン「超魔界村」 処理落ち軽減ハックロム

スーパーファミコンで1991年に発売されたアクションゲーム「超魔界村

アーケードゲームだった「魔界村」シリーズの3作目、家庭用ゲーム機オリジナルにして正式な続編タイトルで、魔界村らしい硬派な難易度で評判も十分ではあったものの、スーパーファミコンの処理速度の問題で一部のシーンで処理落ちが目立つことが難点の一つに挙げられることが少なくなかった。

海外版の超魔界村用に、一部グラフィック・敵の名前を日本版と同じになるよう変更、更に処理落ち軽減を行うというハックロムを見つけたが、日本版超魔界村には適用できないので、どうやって処理落ちを軽減させたかYoutubeにある比較動画から情報を得て一から製作してみた。

製作したハックロムの比較動画

完全ではないが処理落ちが大分軽減されており、ほぼ一緒の動きなのにハックロムの方が進行速度が速い。

 

まだ完全にプログラムを書き換えておらず、メインゲームのメインループと一部のサブルーチンのみを高速化、1周目までしかテストプレイはしていないが、テスト用のIPS形式の差分パッチも載せておく。

ほとんどのプログラムをFastROM化、2週プレイしてエンディングも見れることを確認したが、バグがある可能性もある。

 

※6月21日更新、ほぼすべてFastROM化、ステージセレクト&サウンドテストの出し方を変更

※6月23日更新、オリジナル版からあるボタン配置を変えるとデモプレイがおかしくなるバグを修正

Google ドライブ - スーパーファミコン 超魔界村 処理落ち軽減 ハックロム

使用してみて、特定のシーンでフリーズする、グラフィックやサウンドが化ける、敵の出現パターンやアルゴリズムがおかしいシーンがあれば、blogのコメント欄で報告していただけると直しておくかもしれない。

 

元々スーパーファミコン動作周波数3.58MHzという当時の水準からしても遅すぎるCPUが載っているから処理が追い付かず処理落ちするのだが、更にゲームプログラム&データを書き込んでいるROMが製造コストを抑えるためにアクセス速度が遅いROM(SlowROM、200ns)を採用しているゲームが存在する。、超魔界村もこのSlowROMを使用しており、当時のCPUにはキャッシュメモリなども採用されておらずメモリ読み込み速度=CPU速度と言っていいので実質CPUが2.68MHzで動作しているのと変わらないのである。

処理落ちを軽減する原理は、このSlowROMをアクセス速度の速いROM(FastROM、120ns)から読み込むようにプログラムを書き換えることで本来のCPU動作周波数3.58MHz、2.68MHzからは約1.33倍の実行速度で動作するようにすればいいというのが大まかな流れ。

ただし、単純に設定一か所を変えるだけで済む話ではなく、FastROMを使用するように改造するにはFastROM有効化レジスタを変更した後、プログラム上にあるすべての分岐命令の分岐先アドレスやデータ読み込み命令の読み込みアドレスをFastROMを使用するアドレス($80:8000)以降に書き換えなければならない。

スーパーファミコン SA-1対応版グラディウスIII (処理落ちなしver) 実機ROM製作

アーケード版から様々なアレンジを加えられ1990年12月に発売されたスーパーファミコン版「グラディウスIII」

理不尽な難易度だったアーケード版とは違い、家庭用ゲーム機向けにマイルドな難易度に変更されたものの、コナミスーパーファミコン参入第一弾タイトルということでプログラミングノウハウなどがなく、処理落ちやスプライト欠けが目立つタイトルとなっていたが、発売から28年を経過した2019年にスーファミ本体よりも3倍高速なCPUであるカスタムチップ「SA-1」で動くようにするハックロムが開発され話題となった。

 

 

スーパーマリオRPG星のカービィ スーパーデラックス・実況おしゃべりパロディウスミニ四駆 シャイニングスコーピオンなど、SA-1を採用されたタイトルはそこそこあり入手が容易で、SA-1採用のカートリッジ内のマスクROMを改造版グラディウスIIIを書き込んだROMに置き換え、バックアップRAMを増設(メインメモリ替わりに使われている)すれば、実機でも動作させることができる。


前々から実機上で動いているところをみたいのと半田付けの練習がてら製作してみたいとは思っていたが、EPROM変換基板やEPROMそのものの入手が手間で手つかずにしていたものの、魔改造スーパーファミコンを製作してスーファミ実機が手元にあり、更に変換基板が980円、UV-EPROM M27C322が10個入りで2200円で売っているところを見つけて、製作費も暇つぶしとしては安い出費に抑えられるということで製作してみた。

 

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今回改造に使用したSA-1採用タイトルの「ミニ四駆 シャイニングスコーピオン」

地元のブックオフで250円で売られていたので購入。ハードオフでもジャンク置き場に110円で投げ捨てられている。

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基板中央右寄りにあるこのチップ「SA1」(型番:RF5A123)こそ今回の心臓部となるパーツ。

スーパーファミコン本体に採用されているCPU 5A22(65C816) 3.58MHzを、10.74MHz駆動と3倍速にしたものだ。スーパーファミコンのカートリッジはメモリバス、周辺チップバスがそのまま出ているので、本体側のCPUは動かさなくともこのCPUからスーパーファミコンを制御できてしまうのだ。

※追記:よく調べたら、スーファミ本体のビデオチップ(PPU)とサウンドチップ(SPC700)はSA-1側から操作できないようで、スーファミ本体側のCPUから操作しているよう

 

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なお、同じくSA-1採用タイトルでSRAMの貼り換えが不要という「柿木将棋」も入手しておいたのだが、基板がシャイニングスコーピオンのものよりも縦長でEPROMをカートリッジに入れた際にどうも基板が上手く入らず、軋んで半田割れが起きたのか起動しなかったので、SRAMの貼り換え作業の手間があっても改造にはシャイニングスコーピオンを使う方が確実かもしれない。

 

まずはマスクROMの貼り換え

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SA-1チップ上部にあるこのSOP 42ピンのチップがマスクROMとなる。
上の動画ではヒートガンで焙って剥がしているが、自分はフラックスをICの足に塗って半田コテ先でランドを温めながら足と基板の間に細いピンセットなどを差し込んで足を曲げながら開いていった。

f:id:BCC:20200523195951j:plainマスクROMを剥がしたあと

 

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今回の改造で使う秘密兵器

SOP 42ピンをDIP 42ピンに変換するアダプター

通常では全く大きさの違うICをなんなく貼り付けることが可能となる

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DIP 1ピンが基板から見て右側、マスクROMのランドと変換アダプターのU字溝が合うように置き、両基板のランドとU字にフラックスを塗って半田付け。

よくランドの古い半田を吸い取っておき半田付けの際も抑えておかないと、変換アダプター右側が下の基板から若干浮かんだ形となり、EPROMを半田付けしてカートリッジに入れる際にROMがカートリッジケースとぶつかって基板が軋む可能性があるので注意したい。

変換アダプター上部が基板からはみ出す形となるが問題ない。

 

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そして忘れてはいけないのが、SA-1の左側、CR2032の下にあるバックアップ用SRAMの貼り換え

シャイニングスコーピオンのバックアップRAMは32KB(256Kbit)の物が使われているが、これを128KB(1MBit)のものに張り替えておかないとSA-1対応版グラディウスIIは動かない。

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マスクROMと同様に足を曲げてICを剥がした後、

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絶縁層で隠れているランドをマイナスドライバーで削って導体をむき出しにし、フラックスを塗って半田を載せておく

貼り換えに使用したSRAM秋月電子で売られていたSRAMM68AF127B

IC 1ピン目が右上になるように、IC表面の刻印が基板から見て逆さになるように配置する

ついでにSRAM上にあるCR2032バッテリーバックアップもソケット化しておいた。

バックアップRAMをメインメモリ替わりに使用しているが、副産物としてハイスコア・オプション設定の情報が電源を切っても保持されるので長期間保存しておきたいという人はソケット化して新品のCR2032に交換しよう。

 

ついでに自分が製作したクレジット9 & アーケードモード標準開放パッチ適用済みのSA-1対応版グラディウスIIIをM27C322に書き込んで変換アダプターに半田付けして完成

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変換アダプターが基板上まではみ出していてカートリッジ内の突起とぶつかる箇所があったので削っておいた。

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無事動作確認

普通にプレイしていても全く処理落ちしない(実機上だとカバードコア戦時に若干処理落ちするらしい)し、いちいち連打しなくてもクレジット数は上限でアーケードモードも選択可能なスーパーファミコングラディウスIIIの完成

話は逸れるが、スマホの写真じゃわかりにくいけど、仕事場の液晶ディスプレイではD端子出力スーパーファミコンはボヤけていたが、自宅のアクオスD端子出力をしたところRGB出力とまではいかなくとも十分ドットクッキリハッキリな画質で表示された。

 

シューター(シューティングゲームプレーヤー)よ、これがスーファミグラディウスIII最強(凶)プレイ環境だ

Mortal kombat 11 AFTERMATH 配信中

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ロボコップといった新キャラクターや、相手に止めをさすフェイタリティーではなく友好的なアクションを行う「FRIENDSHIP」の復活といったシステムの変更もある格闘ゲームMortal Kombat 11」の最新DLC「AFTERMATH」

Steamストアページのトップでも大々的に告知されてるから早速ポチろーっと

ポチっ

 

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あ、はい

Steam春の大掃除イベントが開始、条件に合った7つのゲームをプレイするとSteamバッジが入手できる

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PCゲーム配信サイト「Steam」において「春の大掃除イベント」という企画が始まっている。

これは自分のゲームライブラリ内にある未プレイだったり、プレイしてから時間が経過している、最近買ったなどの条件にあったゲームを自宅図書館員のデューイが紹介してくれるというもので、紹介されたゲームをプレイするとSteamバッジが手に入るというもの。1つプレイすると100XP、3つプレイすると200XP、7つプレイすると500XPのSteamプロフィール経験値となる。

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参加方法はSteamにログインして、イベントページ

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「さぁ、はじめましょう!」ボタンをクリック

家の地下に灰色の各階層が表示されるので階層の一つをクリックするとそれぞれ3つのゲームを提示される。

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階層は上から

プレイネクス(機械学習によるオススメの未プレイのゲーム)

ラッキーデー(ランダム表示?)

昔のお気に入り(過去にプレイして最近プレイしていないゲーム)

タイムマシン(Steamアカウントに登録した1/2/3番目のゲーム)

信頼できる[人間の]フレンド(Steamフレンドがお勧めしたゲーム)

REMOTE PLAY TOGETHER(所有しているRemote Play Together対応ゲーム)

新規追加(最近購入したゲーム?確認した限り、去年と今年購入したゲームが表示された)

となっている。

MAFIAシリーズ3作品を収録した「マフィア トリロジーパック」が発表、初代はフルリメイク・2と3のSteam版無印所有者は無料アップグレード・全作品日本語対応

1930年代アメリカ、タクシー運転手トミー・アンジェロがひょんなことからマフィアとなりファミリーの命令に従うが良心の葛藤に苛まれていく名作「MAFIA
第二次世界大戦下、傷を癒すためアメリカに一時帰国していたシチリア出身のヴィト・スカレッタが親友ジョーに誘われるがままマフィアの世界へと足を踏み入れる「MAFIA II」
人種差別が色濃く残る60年代アメリカ、仲間に裏切られファミリーを殺されたベトナム帰りの黒人リンカーン・クレイを主人公とした「MAFIA III」
このクライムアクションゲームMAFIA」シリーズ3作品を、現世代機(PC / PS4 / Xbox One)にトリロジーとして再リリースした「マフィア トリロジーパック」の詳細が発表された。

 

3作品セットになったトリロジーパックが7,480円で発売中だが、単体購入も可能。

 

オリジナル版が2002年に発売された初代「MAFIA」はフルリメイク作品となり、「MAFIA III」の開発元Hanger 13によってグラフィック・ゲームプレイを一新したものとなる。新たな車両としてバイクといった新要素も追加されている。

既にSteamストアページも開設されており、単体価格は4,950円。ページ開設当初、日本語対応にチェックが入っていなかったが、その後2K Japanからの発売発表公式アナウンスに合わせて日本語字幕・UI対応にチェックが入った。

発売予定日は8月29日。

 

2010年に発売された「MAFIA II」は「マフィアII コンプリート・エディション」(英語名Mafia II: Definitive Edition)となり、DLCだった追加シナリオ3つと追加車両・服装6DLCは最初から収録済み。ただし、追加車両・服装系は2Kアカウントにログインしないと使用できない。

既にアンロックされており、オリジナル版MAFIA IIをSteamで所有していたユーザーは無償でアカウントで追加される(元のオリジナル版は「MAFIA II(Classic)」という名前で残る)。

更に、オリジナルでは日本語版が発売終了となっており新規ユーザーが日本語で楽しめないという状況が続いていたが、このコンプリート・エディションでは最初から日本語字幕に対応している。起動時のランチャーから「ゲームオプション」を開き、「字幕」をオン、「言語」を「日本語」にすれば日本語字幕で楽しめる。道中で拾えるプレイボーイのピンナップに規制がかかっているが、英語設定にすると規制が解除される

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グラフィック的には、一部のライティングやテクスチャが変更されたほか、オリジナル版が画面全体をぼやかすだけのアンチエイリアスが改善され、MSAAとFXAA・SMAAのポストAAの併用によってシャープかつジャギーもオリジナルよりも少なくなった印象。

その代わり、物理演算エンジンPhysXを利用した壁や車両の破壊表現、服装の布が揺れ動く描写はなくなった。

また、初期設定だとフレームレート上限設定が設けられており30fpsとなっているので、グラフィックオプションから「制限なし」に変更しておこう。

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2016年に発売された「MAFIA III」に関しては、最近のタイトルで現世代機 PS4 / Xbox Oneで発売されていたものとあって、DLCが全て収録済みとなった以外は変更点はない模様。

元から日本語に対応しており、引き続き日本語対応。

MAFIA IIと同様、Steamユーザーは無償アップグレードされるのでDLC未購入の人には良いかもしれないが、全て購入済みの場合はアップグレードされてもメリットはない。

ジャンクのスーパーファミコンを修理、コンポーネント(D端子)出力・ノイズ軽減・低消費電力化・高音質化改造

メガCDPCエンジン DUO-RXbox Oneとマイナーなゲーム機ばかりを修理しているので、今回はメジャーハードである任天堂スーパーファミコン」の修理に挑戦。

調べてて思ったんだが、意外なことにあんまりスーパーファミコンの修理について書かれたblogやWeb記事って少ないんだな。壊れにくいという任天堂機特有の耐久性の高さを表す証拠ではあるんだが、流石に発売から30年近くも経過し経年劣化に勝てず映像の乱れや電源が入らないという故障が出てきている機体は割とよくある。

メガドライブ(メガCD)・PCエンジンの修理と同様、もちろんこれらの原因はコンデンサの液漏れによる容量抜けや基板の腐食によって回路が断線している状態なので、コンデンサを取り換えて腐食した回路パターンをリード線でつなぎ直せば復活する可能性大。

 

今回分解した880円で購入したジャンクのスーパーファミコン(コントローラ2個・AVケーブル付き)

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お約束通り、黄ばみや汚れが凄い

起動こそするものの電源が入らないことが稀にあり、また映像にも若干ノイズが乗っているような印象。

 

まずは分解

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本体裏側の6か所にある穴のネジを外す

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のだがこれが外側に6個の凹みがあるだけの特殊ネジで、通常のプラスドライバーやマイナスドライバーでは回すことが不可能

先の細いラジオペンチでつまんで回すか、このネジ専用のドライバを通常は使うのだが

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ホームセンターで約1,000円で売られていた「EPS-650」というドライバーセットにあるナットソケット4.0mm(セット内の一番下段、左から二番目のソケット)をはめ込み、ネジを押さえながら回せば外せた。これでも若干噛まず緩いので押し付けるのがコツ。

 

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カバーを外した後

スーパーファミコンには製造時期によって構造が変わっていっているのだが、これは初期型となっており、メイン基板とサウンド基板の二層式になっているタイプ。写真右上のグレーの金属板で覆われている小さいボックスがサウンド基板だ。上下にある二個のネジを外し上に引っ張ればサウンド基板は外れる。覆われた金属板も小さい穴に突起が引っかかって止まっているだけのツメ止めなので、隙間にマイナスドライバーを差し込んで突起を穴から外していけば外れる。

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サウンドプログラムを制御するS-SMP(6502を拡張したようなCPU)、8音のPCMを加工して出力するS-DSPサウンドプログラムとPCM音を収納するサウンド用メモリ TC51832FL-12が2枚、デジタル信号をアナログオーディオ信号に変更するDAC D6376、オーディオ信号を増幅するオペアンプ 2904、その他コンデンサや抵抗、24Mhz水晶など。

S-SMPとS-DSPに「SONY」の印がつけられているが、そう、この二枚のチップはソニー製であのPlayStationの生みの親である久夛良木健が設計したものなのだ。この縁から幻のスーパーファミコン用CD-ROMドライブの構想がソニーとの間で持たれたもののその後破談、そしてPlayStationが誕生するというのが大雑把な流れ。

 

初期型と中期以降のスーファミで内部構成の大きな違いはこのサウンド基板の二階建て式で、それ以降はサウンドチップはメイン基板に直付けとなりコンデンサの細かい変更や複数枚あったカスタムチップが数枚にまとめられるなどのコストダウンがメインとなる。

分解方法は大きく異なる点はなく、これ以降の分解方法を書いていても長くなるだけなので、下記の中期版スーファミのレストア動画が参考になる。

 

 

本体のプラスチックケースとコントローラ二個は分解してキッチンハイターを溶かした水につけて洗浄

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天気の日に3日ほど野ざらしにしたけど、黄ばみはあんまり取れないな。上の動画の様に今度からUV LEDとACアダプタを購入して紫外線照射装置を自作しないとダメそうだ。

※追記:プラスチック黄ばみには塩素系のキッチンハイターではなく、酸素系のワイドハイターを使うのが正解だった 

 

 

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メイン基板のみにした写真

カートリッジスロットより下側にCPU(65C816)、ビデオチップ(S-PPU1)、ビデオDAC(S-PPU2)、メインメモリ1枚ととVRAM2枚、

カートリッジスロットより上側にACアダプタからの9V電源を5Vに変換する三端子レギュレータ(7805)、RGB信号をコンポーネント・コンポジット信号に変換するBA6592F、サウンド基板・カートリッジスロット・本体下部の拡張スロットからの音声信号をまとめて増幅するオペアンプ LM358などがある。

電解コンデンサは少ないもののすべて面実装のものとなっており容量と耐電圧は

C57 100uf 6v (コンポジットビデオ用 カップリング用)

C58 100uf 6v (コンポジットビデオ用 カップリング用)

C59 100uf 6v (S端子 色信号 カップリング用)

C60 100uf 6v (S端子 色信号 カップリング用)

C61 10uf 16v (オペアンプ LM358 電源パスコン)

C62 2.2uf 50v (リセットスイッチ チャタリング防止用?)

C63 33uf 25v (ACアダプタからの9V電源 パスコン)

C64 33uf 25v (ACアダプタからの9V電源 パスコン)

C65 10uf 16v (左音声信号 カップリング用)

C66 10uf 16v (左音声信号 カップリング用)

C67 1000uf 25v (ACアダプタからの9V電源 パスコン)

となっている。

サウンド基板側はリード型の47uf 10Vで、シールド板で覆われていて基板からの高さが1cm未満のものでないと収まり切らない可能性がある。

初期型以外の型番に載っているコンデンサの一覧はこちらを参考にしてほしい

 

S端子や音声信号のカップリングコンデンサをよく見てみると・・・

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ん?足が茶色く変色している?

コンデンサの端子側両サイドにフラックスをよく塗り、片方の端子に半田こてを当てて片方ずつ持ち上げて外していったら・・・

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半田を溶かしている最中にメガCDの電解コンデンサを剥がした際にも嗅いだあの独特の薬品臭が立ち込め、ランドが簡単に剥がれたり、端子の周りやコンデンサのあった真下などがフラックスの焦げ跡とはまた違う変色が見受けられる。

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アルコールを綿棒に浸して変色した箇所を噴いた後、

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ランドにハンダを盛ったり、パターンがあった場所にリード線を伸ばして補強

基板裏側にパターンを通すビア(基板上の穴)が割と大きく、コンデンサや抵抗を切った際のリード線がそのまま通るので穴に通して基板裏側で繋がっているパターン先のパーツに繋げれば簡単には取れなくなるし空中配線も楽に行える。

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赤で囲ったところがリード線を伸ばしたところ

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交換用のコンデンサには余っていたオーディオ用のニチコンFGを使用。

S端子用のカップリングコンデンサはC57とC58、C59とC60の100ufのコンデンサ二個を並列に並べて200ufの容量を確保しているようで、中期以降はここが220ufコンデンサ一個構成になっているので、今回の修理でも220uf一個ずつのみ配置した。

 

ついでに映像に流れる縦縞ノイズ軽減のためにビデオチップやRGB->コンポーネントチップのパスコンの容量を増強

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S-PPU1・S-PPU2の基板真裏にあるC91チップコンデンサがS-PPU1、C92チップコンデンサがS-PPU2用のパスコンになる。

それぞれ容量は0.1ufなのでこれを2012サイズ・4.7ufのものと置き換え。

PCエンジン DUO-R用に買っていたものがまだ余っているのでこれを使用した。

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映像・音声用カップリングコンデンサがあった場所の真裏にあるC84チップコンデンサがBA6592F用のパスコン

容量は1ufでこれも4.7ufにしておいた。

 

さらにすべてのコンデンサを交換していく。

1000ufの大容量コンデンサはPC電源用の低ESR品・他の2.2~33uf品はチップコンデンサにして低ESR化と液漏れ防止を行っておいた

 

ここまで修理や改造をして画質が変わったか確認。

修理前

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修理後

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修理後の方が色合いが若干鮮やかになっている

 

更に拡大してみると・・・

修理前

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修理後

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ドンキーの胸、影となっていて暗くなっている箇所がわかりやすいが、修理前は若干縦型にノイズが出ているが、改造後はそれが薄くなっている。

PCエンジンDUO-Rの時と違ってパスコン増量アップによるノイズ軽減は効果があった。

 

修理前にS端子ケーブルを用意できなかったので今回はコンポジットでの比較となってしまったが、この段階でも差異が出るのであればより鮮明になる映像出力方法では更に違いが出やすいことだろう。

 

更に改造は続く。

お次は高音質化でオペアンプ二か所を張り替える。

メイン基板側にLM358、サウンド基板側に2904が貼られているのだが、これが汎用品で音質も評判が悪いので、安価でそこそこな音が出るオーディオ回路用のNJM4580MDに張り替え

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4個入りで税込100円

1個数百円~何千円もするものがあるが、スーファミレベルではこれで必要十分だろう。

DMP8という小さな8ピンのICで、元から貼り付けられているICを取り外すとなるとU字状に曲げた銅線に半田を流して一気に過熱しひっぺ剥がすのが普通かと思うが、再利用もしないのでピンが折れること前提で、片方の足すべてにフラックスを塗ったあと半田を最小限まで吸い取り再びフラックスをまんべんなく塗り、細いピンセットの先をICと足の隙間に差し込んでこて先でランドを温めて残ってへばりついている半田を溶かしながらピンセットで足を曲げて基板から離していくという方法を取った。片方すべての足が基板から離れたら、反対側は全ての足を半田を流してそのままICを引き抜く。

これで十分に基板を傷つけることなく剥がすことが出来た。

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交換した結果音質は・・・

まあ前より力強くなったような気がする・・・かな・・・?

交換前の音を録音してなかったので比較できないし、本来ならばローパスフィルタも改良しておかないと差異が出にくいだろう。

 

更に液晶テレビで綺麗に映像出力が行えるようコンポーネント映像出力も追加しておいた。D端子映像ケーブルも信号そのものはコンポーネント映像(D端子のDはデジタルじゃなくてコネクタの形状の事)なので変換ケーブルやD端子コネクタを取り付ければ少し前の液晶テレビにも取り付けられるようになる。S端子やRGB端子がない液晶もD端子コネクタは割とあった・・・んだけど、最近はコンポジット含めてアナログ入力を受け付ける液晶がどんどん減ってきてるんだよな。変換アダプタでHDMIに変換する際、コンポジットよりは画質の劣化が少なくて済むはずなんだけど、スーファミコンポーネント信号は240pとかいう480p・480pと違うので入力を受け付けない変換アダプタ・液晶もあったり互換性面でも難があるのが欠点。

こちらのサイトを参考にして制作

自分でも回路図を書いてみたが、参考にしたサイトに貼られている画像の方が分かりやすかった。自分の回路では80Ωの抵抗が手元になかったので75Ωに変更、トランジスタに供給する5V電源に4.7ufのコンデンサを追加しておいた。

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それでは回路を組み込み

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見よ、このエッシャーの騙し絵みたいな空中配線を。

ちょうどよい具合に周囲に5V電源やGNDにビアが通っていたので綺麗にパーツが収まってくれた。

 

ついでに三端子レギュレータを7805からDC/DCコンバータのM78AR05に変更。

発熱が無くなり空中配線に邪魔なヒートシンクのアルミ板を除去することができ、消費電力も少なくできる優れもの。1個500円。ジャンクのスーパーファミコンよりもこの小さなパーツの方が高い。

 

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コンポーネント端子のRCAジャックも本体後方にドリルで穴を開けて確保。ちょっとジャックの高さ位置が揃わなかったが、道具も使わずドリルを直接当てただけなのでこれが限界。

下部のシールド板やサウンド基板を取り外しの際に接触しないか心配だったが、シールド板は手前を持ち上げながら引き抜けば十分ぶつからずに取り外せるようにできた。

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D端子出力も変換ケーブルを通して行える。

 

D端子ケーブルを使って液晶に映してみた。

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キャプチャーユニットがないので画面直撮りだが、問題なく映ることを確認。ただコンポジットで出力するよりは鮮明でも、元が240pの映像なので1080p液晶ではボヤけて表示されてしまうことに変わりない。

 

S端子の輝度信号を増幅もせずにそのままコンポーネント側に引っ張ってきているが、S端子出力との同時表示でも問題なく映ることを確認。

ただし、コンポーネント側の映像が若干ではあるものの色合いが黒くなる。S端子側は変化なし。

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画質の劣化や色合いが不鮮明になったというものではなく、引き締まった色使いにも見えるので特に問題はないだろう。

 

 

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どうだ

これが世界に一台しかないという高画質・高音質・環境にもやさしいというチューニングされた(初期型)スーパーファミコンだ。

でも、こんなスーパーファミコンを一心不乱に作り上げたとしても、スーパーファミコンのゲームで別に今遊びたいゲームなんて一本もないんだよね。

あっても現世代機に移植されてるとかしてるから無理にスーファミで遊び必要がない。

では、このスーファミを作った意味とは!?空中配線やDMP8チップ張り替えのノウハウや練習が溜まったから一応は有意義だったかな。

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