令和最初の新ハード「メガドライブミニ」の発売まで残り1か月を切った今日この頃、子供の頃からメガドライバー(熱心なメガドライブユーザーの事)で、大人になった今でも現役メガドライバーの全国1億2千万人の皆さんいかがお過ごしでしょうか。
プレミアのついている「魂斗羅ハードコア」「ヴァンパイアキラー」「幽☆遊☆白書」・メガドラミニのために開発されたメガドラ版「ダライアス」や「アーケード版基準テトリス」など多数のゲームの数々が収録されているにも関わらず6,980円という新型ゲーム機では信じられないお手頃価格での発売で、熱心なメガドライバーな皆さんだったらまず間違いなく予約していることでしょう。ちなみに、私は予約してません(え!?)
まあそんなこんなで、メガドライブミニが発売されるのとメガCDに再び凝っているのが相まって、メガドライブ実機の改造を無性にやりたくなったので突如として始めてみた。
S端子改造&アンプスルー改造のメガドライブは持っているのだけど、現在居間に設置している液晶テレビがS端子を搭載しておらず、アンプスルーでの簡易改造による高音質化改造はPSG音源が鳴らなかったりカセット&拡張端子からの音源が鳴らなかったりと問題が大きすぎた為、今回は前にジャンクで引き取ったメガCDについてきたメガドライブ(VA6)をベースに再び一から改造し直すことにしてみました。
メガドライブの高音質化改造というと、前例のアンプを通さずにそのままスルーする方法とは別にアンプ回路を組んでの改造が有名だが、別アンプ回路はメガドライブにあるボリュームスイッチがただの飾りになってしまうなど実機メガドライブならではのギミックが失われてしまうという副作用がこの方法でもあって改造するのに抵抗感があるし、簡単な回路とはいえ組むのが面倒。
そこで、今回は本体前面にあるヘッドホン端子やボリュームスイッチといったギミックをそのまま生かして、本体ケースに別基板を設置したり穴開けといったことをしないもう少しスマートな改造方法を施すことにした。
まずはメガドライブを分解。
本体ケース裏側の6本のネジを外してケース上部と下部を少しづつ持ち上げて基板と電源LEDを繋ぐケーブルを外して分離、基板本体の左右及び中央の上下にある6本、ヒートシンクを固定している2本、カートリッジコネクタにある左右の黒いネジ2本を外して、基板を奥から手前に傾けるような形で持ち上げてケースから外す。
基板が外れたら、基板裏側のヘッドホンアンプCXA1034半田面近くに注目
基板リビジョンによってパターンが違うようだが、上の写真で赤く丸で囲ったCXA1034の1ピンと8ピンの回路先にあるチップコンデンサとチップ抵抗、これがローパスフィルタの役割になっている。コンデンサの容量は4700~5600pfほどで並列に一緒に並んでいる10KΩのチップ抵抗と合わせてカットオフ周波数がどれほどかと計算すると2.8~3.4kHz以上なのだ。FM音源のサンプリングレートが55Khzでその半分は27.5KHz、人間の可聴周波数帯域が20KHzだから、本来なら鳴って聞こえるはずの音がバッサリとカットされているのが分かる。これがメガドライブの音がこもっていると言われている原因の一つなのだ。
ということでこれを外してもっと小さな容量のチップコンデンサに入れ替えてみる。
基板とコンデンサを固定している上下のハンダをある程度ハンダ吸い取り線で吸い取ってランドを温めながらピンセットで片方ずつ持ち上げていけば簡単に外れる。
チップコンデンサが取れたら残ったハンダも完全に吸い取ってアルコールで周辺を綺麗にした後、表面が少し盛り上がる程度にハンダを再び乗せれば準備完了。
新しいチップコンデンサをランドに沿うように載せて、ピンセットでチップコンデンサを抑えながら盛ったハンダを溶かしてチップコンデンサの端子がくっつけば完成だ。
張り替え後の写真
容量は目的のカットオフ周波数によって異なるが、約16KHzなら1000pf、20KHzなら820pf、約22KHzなら680pfのチップコンデンサを載せよう。
自分はできる限り帯域を広げようと680pfにしてみたが、聞く人によっては高音が出るようになったせいで耳障りな音と感じるかもしれないし、フィルタによって抑えられていたノイズが目立つかもしれない。
※追記:680pfだとゲームによってはキンキンなので、820pfか1000pfあたりが良さそうだ。
なお、写真でもわかる通りCXA1034の12ピン(5V電源)と13ピン(GND)にデカップリングコンデンサ用の0.1ufセラミックコンデンサをつけてみたが、付けた付けないで無音時に目立つホワイトノイズに差は無いように感じるので効果はなかったようで、わざわざつける必要はないはず。
では無改造、改造後での音質比較
ボリュームスイッチを最大限まで上げて、メガドライブ前方のヘッドホン端子からPCのマイク端子にオス-オスケーブルで直接接続して録音。
ACアダプタにはメガドライブの高画質化・高音質化対策でおなじみの「POWER-ALL PA-9S」を使用している。本体そのものを改造せずともこれだけでも手軽かつ大幅に改善される優れものなので改造するしないに関わらずメガドライブで遊ぶなら買っておいて損はない。
無改造
改造後
無音時のホワイトノイズは改善されないものの、こもっていた音は大分改善された。
元々CXA1034はアナログテープ音声の増幅用らしく解像度がそれほど高いわけじゃなく、ノイズ対策も完璧とはいかないものの、たった2か所のチップコンデンサを交換するだけでも音質は大幅に変わってくれる。
今更実機でこんな改造する人がこの世に何人いるのかは分からないが、最近発売されたメガCDゲームをSDカードから読み込ませるカートリッジ「Mega SD」はカートリッジ側の音声拡張端子からCD-DA・PCM音声を出力し、メガCDのように直接出力できず必ずメガドラ本体側のアンプ回路を経由することになって折角のHi-Fi音が大幅に劣化することとなるので、回路を組み立てるのが面倒でまだアンプ改造によるメガドラ高音質化を試してみてない人はこの方法でも試してみるのもいいと思う。