先月には「メガドライブミニ」も発売されたセガが1988年に発売した16BIT家庭用ゲーム機「メガドライブ」
メガドライブと言えば、ノイズまみれでこもった音質とあのやたらと滲みまくるコンポジット出力の画質がよく話題に上がるゲーム機だが、音質はこのblogでも取り上げたローパスフィルタ除去や別アンプ回路でかなり改善され、本体内部のRGBエンコーダからY/C信号を取り出してS端子で画面出力することでRGB出力までとはいかずともそこそこの画質で遊ぶことが可能。
自分も昔メガドライブにS端子出力を増設してみたりしていたが、現在所有しているテレビにはS端子入力がそもそも存在せず、結局コンポジット出力での滲みまくりの画面で遊ぶしかなく、そもそもエミュで遊んだほうがクッキリかつチラツキなしで遊べるよなとか思い始めてRaspberry Piとレトロビット製USBパッドでエミュ環境を作り始めてしまい、実機の出番がほぼないに等しくなってしまったが、メガドライブ関係で色々と調べていたら本体への改造をせずともケーブルだけでS端子出力が可能な回路がTwitterの@hn12v1_jp氏が公開しているのを発見。
@MtChocolate 先公開したSビデオ回路、複数のテレビで最適化した新数値。
— 楊子平 (@hn12v1_jp) June 13, 2016
これが修正したの回路。
多分これでブラウン管も液晶も綺麗に映るはず。
先の回路をRTしたの方、修正したの回路をもう一度RTしてお願いします。 pic.twitter.com/7udu7c10LN
RGB信号とC-SYNC信号からS端子の輝度信号(Y)を生成し、コンポジット信号から色信号を抜き出すというもので、トランジスタ1石、抵抗4個、コンデンサ2個というかなりシンプルな作りとなっている。
無理に作る必要性は自分にはないのだが、実際にどの程度の画質で実用性があるのか確認してみたいし、部品数が少ないのでDINコネクタ内にすべて押し込めることが可能ということで空中配線の半田付け練習にはもってこいな感じだったので今回はこれを作成してみた。
ケーブルを作成するにあたって注意する点はメガドライブのAVコネクタである8ピンのDIN端子はMIDIケーブルで使われている丸型配置のコネクタ(8a)ではなく、U型配置(8b)なので一般的に売られているオスDINコネクタをパーツ屋で買ってきても取り付けられない可能性がある。
自分が調べた限り、共立エレショップでこのU型配置のDINコネクタが売られているのを発見したのでこちらで購入しておいた。
それではレッツ製作
メガドライブに差し込むDINコネクタの内部に収まるよう全部品を半田付けしてみた図
製作前に想像していた以上に全く持って余裕がない。電解コンデンサは5mm高、色信号用のカップリングコンデンサはフィルムではなく積層セラミックコンデンサ、トランジスタや抵抗のリード線もL字型に捻じ曲げてみたりしてみたが、隣り合うリード線が数ミリ間隔でしか開いておらず何度か抜き差ししてリードが曲がったらショートしそうな感じだし、コンデンサもコネクタのケーブル差込口の穴まで入った状態で収まっている。
とりあえず曲がりそうなリード線には半田を盛って固めてみたり、絶縁テープで補強しておいたが、細かい作業や半田付けに慣れていない人は無理にDINコネクタに収まるようにしないで小さいユニバーサル基板とケースを用意して一旦ケーブルから基板上の回路に引き出すようにした方がよい。
これだけだとあたかもメガドライブに標準でS端子出力が備わっていたかのように勘違いしそうだが、メガドライブのAVコネクタの映像関係はRGB信号・同期信号・コンポジット信号しか出てないぞ。
それでは標準のAVケーブル(コンポジット)と今回作成したS端子ケーブルで画質比較。
ACアダプタはお馴染みの「POWER-ALL PA-9S」をY字分配ケーブルでメガドライブ本体とメガCDに接続して使用し、キャプチャはIO-DATAの「GV-USB2」を使用
- メガCD起動画面
コンポジット
- メガCDメニュー画面
コンポジット
- メガCDバックアップRAMツール メッセージ
コンポジット
- うる星やつら ~ディアマイフレンズ~
コンポジット
コンポジット
コンポジット
なんということでしょう。
あんなにボヤケてて眠たかった画面がシャープになり、くすんだ色合いも華やかな印象に。
滲みが減った分、タイリングデザインで色数の少なさを補っていたドット絵が逆に色数が少なく見えてしまったり、メガドライブRGB出力特有の縦縞ノイズが明るい青色を使用する場面で目立ってしまっているが、背に腹は代えられぬ。
ここまで画質が変わるというのなら純正でS端子ケーブルを用意していたら、メガドライブはガビガビだーという悪評が広まる歴史が大きく変わっていた(かもしれない)だろう。
メガドライブ本来のドットの美しさを実機である程度見ることが出来てこのS端子ケーブルの製作は大満足、かつ空中配線による半田付けのスキルも向上して有意義なものとなった。
さてと、ラズパイでメガCDソフトでも遊ぶかな。