震災後の仙台を歩く

深町秋生のベテラン日記

「今日の海風はきついね」とワッシュ君に言うと、彼が答えた。「さえぎってくれるものは、みんな津波で消えましたからね」

写真には、二件のボウリング場の看板が小さく写っている。奥のボウリング場は廃墟だったらしいのだが、現在は名取市の死体安置場として使われている。

駅前まで続くクリスロード商店街には「私たちは負けない!」という看板が掲げられていた。

淡々と書かれているのが、余計キツすぎる・・・
写真や文字ですらくるものがあるのに、実際にその場に行ったら空気のおかしさで精神が弱りそうだ。
簡単な言い方で失礼かもしれないけど、「日常」が戻ってきてほしい。

「でもね、ナイフを持った外国人とか、そんなのどこにもいないですよ」とも彼は言った。「この街に来てもいないやつが、知ったかぶりしてデマ流すのを見ていると本当に腹が立つ。なにが『知り合いから聞いた話だけど』だ」とも。そうした真偽不明な情報を、嬉々として流す芸能人のブログがいくつかあった。

芸能人だけじゃない。一般人や果てはどっかのお偉いさんまで軽々しく、情報や物事を当たり前かのように決めつけていく。