ハイパーメディアパソコン「FM TOWNS」のハイパーメディアなソフト

1989年に富士通より発売されたパソコン「FM TOWNS

世界初のCD-ROM標準搭載・32bit CPU搭載というPCで、当時インターネットも民生用では普及しておらず他PCは1.2MB程度の容量しか入らないフロッピーが主流の時代、TOWNSは650MBという大容量CD-ROM媒体を利用して音や映像といった大量のコンテンツを収録し今までのような文章コンテンツ主体のパソコンの枠を超えた全く新しい情報端末になる、という富士通の思惑から「ハイパーメディアパソコン」というキャッチコピーを付けられたが、悲しいかな昔も今もPCはプログラミング・グラフィック・特に大きかったのがゲーム用途が主流で、普通に今までのパソコンの枠から逃れられない使い方が主だったり、(アーケード)ゲーム用途だと当時はライバル視されていたX68000の方がまだ向いていたため、どうも中途半端な存在感しか出せないまま95年のWindows 95発売によって終焉を迎えてしまった。

 

 

だが、決して富士通が想定していたハイパーメディアなソフトが全く存在していなかったわけではない。英会話学習・デジタル絵本・電子辞書及びデーターベース・知育・プラネタリウム・ジョークソフトと当時のパソコンソフトでは珍しかったジャンルのタイトルはゴマンと存在するし、実際に1000本以上存在するFM TOWNSソフトはこれらのタイトルで水増し形成されている。

前述の通り、当時も現在もゲーム用途ばかりでしか注目されていないせいでTOWNS=昔のゲーミングPC(海外では更にマーティーというゲーム機だとしか思われてない)という認識が主流になってしまっているが、ここでは当時どんなソフトが実際に出ていたか、殆どゲームばかりでよくてビジネスソフトが取り上げられることの多い一般的なパソコンソフト史の別の一面を紹介する。

 

 

  • ハイパープラネット

1990年にダットジャパンから発売されたプラネタリウムソフト。年月日を指定して自由に天体を鑑賞することが可能なシミュレータを搭載しているが、このソフトの特徴はなんといっても1月から12月までの各月の星座を解説してくれるプラネタリウムモードだろう。心地よい音楽と心安らぐナレーションによって天体の世界へと導いてくれる。

動画は「FM TOWNS MARTY」への対応がなされた1993年発売版の「ハイパープラネット for MARTY」。for MARTYとタイトルについているが通常のFM TOWNSでも問題なく動作する。

 

  • ハイパーチャンネルTOWNS TV

1990年に電脳商会から発売されたジョークソフト。TOWNSがテレビ局になるという趣旨のソフトで、見たい番組に合わせてマウスをクリックすることで該当番組が放送されるのだが、流れてくる番組がどれもこれもエキセントリックな内容ばかりで芸術性が高すぎる。

実はTOWNSの時刻設定と連動しており、行事のある日に起動すると通常とはやや異なった放送となる。

 

  • おばあちゃんの知恵袋

株式会社ぎょうせいから1991年に発売された実用知育ソフト。教育テレビの人形劇風の背景をバックに、おばあちゃんが生活の上で役立つ知識を惜しげもなく披露してくれる。

画面右下に表示されているおばあちゃんに×が付いたアイコンをクリックすることで話の途中でキャンセルすることが可能なのだが、その場合家族が内心おばあちゃんの長話をウザがって「おばあちゃんその話はもう聞いた」と話しおばあちゃんも残念そうに返答をし、三回ほどキャンセルすると流石のおばあちゃんも何かを察したのかそれ以上話をするのを止めてスタッフロールに突入する悲しい結末を迎える。

おばあちゃんの声が聞いたことがある人も多いかと思うが、それもそのはず、アニメ「サザエさん」では初代磯野フネ等や多くのおばあちゃん役を演じ、優しいナレーションが印象的だった故麻生美代子さんが担当している。なのだが、Wikipediaのリストにも2月11日時点でこのソフトの事が載っていない。これもマイナータイトルの定めなのか。

ソフトそのものの話とは外れるが、音声はCD-DAに収録し、左右チャンネルで別々のセリフを収録してそれを再生する時に電子ボリュームで片方チャンネルだけ音量を小さくして反対チャンネルのセリフだけ流れるというゲーム「ふしぎの海のナディア」でも見られた方式を取っているが、何故かミュートにせず最小音量設定にしているだけにすぎない(ナディアではちゃんとミュートになっている)のでよく聞くとごく僅かにセリフが聞こえてくるのがわかる。