発売が許可されなかったSteam版「CHAOS;HEAD NOAH」が一転発売決定。配信予定日は当初の予定通り10月8日

渋谷で発生したニュージェネレーションの狂気(ニュージェネ)」と呼ばれる猟奇殺人事件に巻き込まれた引きこもり寸前の高校生西條拓巳を主人公としたアドベンチャーゲームCHAOS;HEAD NOAH」(カオヘ)
5pb.Gamesよりリリースされている科学アドベンチャーシリーズの1作目となり、「STEINS;GATE」「ROBOTICS;NOTES」そしてこのカオヘ直系作品「CHAOS;CHILD」(カオチャ)までPCゲーム配信サイト「Steam」でリリースされてきており、今作のみ今までリリースされてこなかったのが海外Nintendo Switch版と同時リリースとなる10月8日より配信が開始されることが今から3カ月ほど前にアナウンスがなされた。
直系作品も既に出ていて似たような猟奇的な表現のある作品はSteamにあれど高校生が巻き込まれるという設定上、未成年の表現に厳しい最近のSteamでは本当に大丈夫なのかと不安視する人もいたが、発売アナウンスから約一か月後となる8月16日、SteamDBの情報からこのSteam版カオヘが発売に必要なコンテンツの事前審査に落ちたことを示すデータが表示されている(各テキストデータはないもののバナー画像やムービーだけは閲覧できる)状態となっていることが確認され、それから発売元のスパイク・チュンソフトからアナウンスがなかったものの、配信予定日の5日前となる10月3日になってようやく発売中止を伝えるニュースが告知される。

スパイク・チュンソフト ニュース - Steam版『CHAOS;HEAD NOAH』 発売中止のお知らせ

だが、本国の日本はともかくとして、今まで公式ローカライズ版がなかった海外のファンは納得しなかった。コンソール機であるNintendo Switch版は予定通り発売できる、そのSwitch版もAmazonウォルマートといった各小売店で取り扱いが行われる、猟奇的といってもESRBやPEGIの独立レーティング団体の審査を通っている表現、など審査落ちに関して不可解な点が多い。発売中止を知らせるニュースで事情を知らない人間がとやかく言っていたが、Valveはかつて「トロル/違法な表現を除いてSteamは制限しない」と言っていたのだ。カオヘに(アメリカ・会社がある州で)違法な表現が含まれているなら、何故にValveと同じアメリカ・ワシントン州にあるNintendo of Americaが発売を許可したりレーティング審査を通ったんだ?ハッキリ言えばValveは顧客にたいして嘘を言った(そして今でも言い続けている)ことに他ならない。

海外スパイク・チュンソフトの発売中止アナウンスから少しして、「Project: Save Chaos;Head」と称した有志の署名活動、およびValveの取締役であるゲイブ・ニューウェルへのメールでの直談判(彼は客の声を聞くということでメールアドレスを公開している)といったキャンペーンが実施される。

そしてその効果が実ったのか、当初の発売予定日前日となる今日10月7日、スパイク・チュンソフトから一転してSteam版発売が再決定し、配信日も当初の予定通り明日10月8日からとなることが告知。

スパイク・チュンソフト ニュース - Steam版『CHAOS;HEAD NOAH』 発売再決定のお知らせ

Steamストアページも開設されている。

なおスパイク・チュンソフトの公式アナウンスでは合わせてValveからの回答も掲載しており

「Valveコンテンツレビューチームは、先日リジェクトを決定した「CHAOS; HEAD NOAH」の再検証を実施した結果、修正のないオリジナルの状態での販売を承認いたします。今回の「CHAOS; HEAD NOAH」での審査プロセスの問題を見直し、今後このようなことがないように努力に務めてまいります」

「今後このようなことがないように努力に努めて」まあ、いつもの嘘だろう。前にも似たような回答を別の会社に出してそれで今回の騒動も起きた気がするんだから。嘘つきはゲイブの始まり、ってアメリカのことわざにもあるくらい(ないです)なんだからね。いや、「努力」という表現に留めていて「絶対繰り返さない」じゃないからギリ嘘ではないのかもしれない。

それと、今回はある程度ファンの声が大きかったから審査が覆った形となったが、基本的には審査落ちすると再審査は受け付けない(審査落ちしたコンテンツを無修正のままならなおさら)、これがもっとマイナーゲームだったらそのまま(Steamだけに)蒸発してしまっていた可能性が高い。実際、こうやってSteam版が消えていったタイトルは数知れず。

 

ただ、カオヘは結構ややこしいことになっているのだが、「修正のないオリジナルの状態での販売」とValveの返答文に書かれているものの、おそらくこのオリジナルと称したものはあくまでも「Valveに提出したバージョンを基準としたもの」であって、ファンが修正のないと聞いて連想するはずのCERO:Zの表現が含まれたXbox 360・PS Vita版相当のものではない可能性が高い。

実は日本では今年2月にカオチャと両方を収録したNintendo Switch版が発売されているものの一部シーンが無くなっていたり文章に修正が入っているCERO:DのPS3PSP版と同等の内容になっている。だがカオチャの方には修正が入っておらずこちらはCERO:Z相当になっていて、両方収録なのでカオチャ側はCERO:D表現でもZタイトル扱い。Steam版においてもこのSwitch版ベースに移植していると思われるので、Steam版自体の発売決定は大変喜ばしいが過度の期待はしないほうがいいかもしれない。