こういう話題の度に「ああすればいいでしょ~」とか「仕方ないんじゃ~」とか文章読めない人が必ずと言って現れるので本文より先に箇条書きしておく
- 先に「すべての表現を受け入れる」と言い出したのはValve。
- 具体的に何が問題かとは絶対に開示しない。
- 何が原因で規制されるかValveの関係者以外にはわからず、BANされた事例から憶測で同じく該当すると思われたタイトルが普通に発売できたり、逆に該当しないと思われたタイトルがBANされたりする。
- 一度BANされて再販できたタイトルは自分が覚えている限り確認できていない。表現を変えたり、全年齢版で再登録してもダメ。 ※更新:「Hallo, Goodbye」が復活、が下着シーンが修正される。更にこれが特殊な例で、現在では修正したとしても再登録を受け付けていない模様。
- 100ドル支払ってSteamへの登録、事務、審査、実績や各種特有機能の実装を金と手間かけてやったとしても、本当に発売できるかどうかはその時になってみないと分からない。
- 仮にValve社員にこの件を直接問いただしたとしても絶対に返答はない。
- 表現の自由が~、とかそんな話じゃなくて、できないものは事前に告知して理由を説明して先に断るのが筋、できもしないことをできると言ってその場限りの嘘をついて誤魔化すな。
約1年前、PCゲーム販売&コミュニティサイトの最大大手「Steam」で俗に「Anime Titty Holocaust(アニメおっぱいホロコースト)」もしくは「Waifu Holocaust(二次嫁ホロコースト)」事件と騒がれた事件があった。
それまで直接の性描写を含まないソフトエッチな表現や、外部パッチによる性描写のあるシーンの開放を容認していたSteamの運営元Valveが方針を突然転換し、MangaGamerがSteamで既に配信していた「その花びらにくちづけを ミカエルの乙女たち 英語版」、Henteko Doujinより配信予定だった「いえのかぎ」を発売前に削除と複数のタイトルをSteamからBAN、更にその数か月後「HuniePop」「Tropical Liquor」「屋上の百合霊さん」「DEEP SPACE WAIFU」「VRカノジョ」といった配信中だった数十タイトルの開発元に対し、「Steamのポルノコンテンツガイドラインに違反しており、2週間以内にコンテンツを修正しなければストアから削除する」という警告のメールがValveから送られてきた。The Witcher 3やGTAVといった同じくポルノコンテンツが含まれていると言っていいゲームには何の警告も出さず、アニメ絵のゲームだけを狙い撃ちしたかのような行動に、HuniePopの開発元は「It's an anime titty holocaust.」とツイート。具体的にどこが該当する箇所かは明示せず、そもそも審査の段階でコンテンツ内容に問題ないという評価をValve自身が出したからこそストアでリリースできている、仮に該当するシーンがわかったとしても2週間で直すことができるのか、など様々な問題点を該当の開発元のみならずゲーム系メディアやコミュニティからも指摘され総叩きとなりストア削除の決定を一旦保留しその後削除の撤回、遂には「違法なものやいたずら目的な物を除いてすべての表現を受け入れる」との声明を正式に発表することとなった。
そして、めでたく外部パッチを用いずとも直接の性描写を含む「Negligee: Love Stories」(おま国)が発売、NekoNyanSoftから「サノバウィッチ」(ゲーム本体は日本から買えるがR18パッチはおま国)が外部パッチ及びSteamから直接R18シーンを解禁するDLCをダウンロードできるようになり、話はめでたしめでたし・・・とは全然ならなかった。むしろ、Waifu Holocaust事件の前よりも混乱が生じている印象すらある。
「児童搾取」もしくは「法的にグレー」と説明してSteamストアページを削除(BAN)したり、削除こそしないものの何カ月も審査を無視し質問を投げても返答を行わない、という事例が何件も発生しているのだ。
記事が長くなるのですべての事例は記述しないが、以下はその一例。
-
Hello, Goodbye
Many of you guys have already noticed that the store page for "Hello Goodbye" has been deleted by @steam_games .
— NekoNyanSoft (@NekoNyanSoft) December 5, 2018
This is NOT a technical problem as some of you have speculated.
We have reached out to Valve for clarification.
上記で記載した「サノバウィッチ」と同じNekoNyanSoftがSteamで配信しようとした作品。
「サノバウィッチ」と同様に全年齢版のゲーム本体とR18版にする外部パッチの配信方式にしようとしたものの、全年齢版であるはずのゲーム本体すら「児童搾取」を理由にBANされる。
具体的にどのシーンが「児童搾取」に該当するのか、どの法律に違反するかなどは返答無し。
制服姿のキャラクターがいるから未成年と認定しているのかもしれないが、なのに同じパブリッシャーが配信している「サノバウィッチ」は制服姿のキャラクターによる性描写があるにも関わらずBANされていない。
※更新:Steamストアページが新しく開設し直され復活
We are really happy to announce that "Hello, Goodbye" is finally back on Steam! (*•̀ᴗ•́*)و ̑̑
— NekoNyanSoft (@NekoNyanSoft) April 4, 2019
The game will be released in two weeks on the 18th of April!https://t.co/N9DVtY456T
For more information, you can visit: https://t.co/V4Mb3djRvJ pic.twitter.com/OoZd9blMBk
-
Imolicious
Oh great, Imolicious got banned on #steam -.- There aren't any children in there, plus I added the typical all characters are over 18 warning... pic.twitter.com/wODi1oshPL
— Yume Creations (@YumeCreations) November 14, 2018
兄のワタルと妹の加奈子が共同生活を送ることとなるノベルゲーム。
キャラクター説明には18歳以上という表記をしていたものの、「児童搾取」を理由にBAN。近親相姦描写を含んだタイトルのようなのでそれが理由でBANされた可能性もあるが、あくまでもValveの説明だと児童搾取。ただし、どのシーンが児童搾取になるのかは返答無し。
-
筑盛計画_Victory Project
It's very disappointing, but we won't give up. pic.twitter.com/HR1Fzt4zkN
— 筑盛计划_Victory Project (@VictoryProject3) January 25, 2019
性描写を題材にした作品ではないものの、「法律的にグレーゾーンだから」というこれまた曖昧にもほどがある理由でBANされる。
あまりにも曖昧な理由に「ネコぱら」の開発元、NEKO WORKsの公式Twitterアカウントもこのニュースに反応しネコぱらVol.4がSteamでリリースできるか危惧
We are aware that reviewers at Valve have changed their guidelines on approving visual novel titles ambiguously. Genuinely speaking, we are very concerned that the release of Nekopara Vol.4 will be at the mercy of this seemingly random decision.https://t.co/zqW0xEZ6BV
— NEKO WORKs@Official (@nekopara_pr) January 25, 2019
Valveの審査はヴィジュアルノベルタイトルに対して曖昧な承認を行うガイドラインに変更されています。率直に言うと、ネコぱら Vol.4のリリースがこの一貫性のない決定に翻弄されることを非常に心配しています。
I guess some people already know because of the steamdb info, but it looks like Cartagra and Kara no Shojo 2 were both rejected by Valve, so they won't be coming to steam.
— Doddler (@The_Doddler) February 28, 2019
データベースには登録されていたものの、Steamストアページができる前に削除
なお、前作である「殻ノ少女」(おま国)はSteamでR18版が配信済み、カルタグラは制服キャラクターは登場しない。
-
Niplheim's Hunter - Branded Azel(ニプルヘイムの狩人 -Branded Azel-)
サークル「黒電車」のRPGゲーム「ニプルヘイムの狩人」の英語ローカライズ版。R18 DLCもSteamで無料配信されている。
「クエスト受注を行う受付のピンク髪のキャラクターを消せ(存在そのものかイベントCGのみかは不明)」という訳の分からない難癖をつけられて1カ月近く配信延期。その後、Valveが「決定は謝りだった」と謝罪し無事配信される。ただし、何故その誤りが発生したのか、何故特定のキャラクターを消さないと配信できないと決定したのか、という疑問には回答せず。
-
Moe Reversi
制服や先生キャラクターとのオセロゲーム。制服破壊表現のある脱衣オセロゲームだが全年齢向け。一度BANされ、制服破壊表現の無いバージョンになったようだが、1月に申請した審査を無視され続け未だに配信されず。
※3月14日追記:制服破壊なし版もSteamからBAN
またSteamのレビューがNGでした...セクシーシーンを全て削除したのになぜ!?
— icharax公式 (@icharax_) March 14, 2019
-
食用系少女 Food Girls
台湾グルメを擬人化した経営シミュレーションゲーム。全年齢向け。ストアページは開設されており削除されていないが、発売予定が2018年12月14日と既に約3カ月近く経とうとしているのに未だに発売される兆しなし。審査を申し込んでも何の説明もなくリジェクトされ、理由を質問しても返答をよこさないため現時点でSteam版の配信は無期限延期となっている。
幼く見えるキャラクターに過剰に光線規制をかけたバージョンを提出してもリジェクト。
なお同じSimon Creativeが手掛け、同じように食品を擬人化するというコンセプトで食用系少女のキャラクターよりも幼くも見える「東津萌米」に関してはSteamで問題なく発売されている
※追記:その後一キャラクターを書き換えて配信開始。ただし、元からお色気シーンの無いゲームだし、修正されたキャラクターも簡単な方法で元に戻すことが可能。審査に何の意味があったんだ・・・。
事実関係を正確に確認していないので取り上げるべきではないかもしれないが念のため。
「Re:ゼロから始める異世界生活」に登場するレムやエミリアと膝枕や添寝が体験できるVRアプリ。全年齢向け(VRなので正確には違うか)。スマホやPSVR等では既に配信されており、Steam版は2018年12月にストアページが開設され、2月2日の配信予定日となっているにも関わらず未だに審査中のままで配信されていない。
※追記:発売予定日から3カ月遅れで配信開始
で、これで全部が全部お色気要素や危ない描写のあるシーンがSteamで規制されているかと言えばそういうわけじゃない。逆に最近Steamで発売されているタイトル群の一例をあげる。
-
PANTY SLIDE VR
セーラー服やメイド姿の女の子のスカートを中身を下から滑り込んで覗き込むことができるVR。それだけ
-
NekoMiko
※ストアページ閲覧にはログインと年齢認証がが必要
R18要素は外部パッチなものの、通常版でもちょっとHな要素がある。猫の擬人化、ストアページに18歳以上設定の注意書きがあるものの、胸の小さいかえでは人によっては未成年に見えてもおかしくないにもかかわらず、ストアページのスクリーンショットからでもお風呂シーンが確認できる。
-
閃乱カグラ Burst Re:Newal
制服が破れ裸体になる描写あり。キャラクター設定も未成年。海外PS4版は更衣室でのおさわり要素がカットされてしまったが、Steam版はおさわり要素も検閲されずに入っている。
-
ものべの HAPPY END
日本語・中国語対応版。全年齢版なので乳首や性描写こそないものの、幼く見えるキャラクターが風呂場で男性の背中を洗い流すシーンあり。
-
Under One Wing
制服姿のキャラクターが主人公と69体制になったり、着替え中に部屋に入られるシーンあり。
R18版のみならず全年齢版でもBANもしくは発売が許可されない、制服キャラクターがいるから必ずBANというわけでもないし、登場人物は18歳以上ですと表記してもお守り程度、幼く見えるからと言っても該当しそうなキャラクターのいるゲームも近年でも発売されている、行為が問題なのかと言われたら制服キャラクターが脱衣したりお触りがあっても発売できたりする、BANされるされないの境界線がもはやなんなのかわからん。いや、マジで誰か教えて!?
もうあれだろ、ゲイブが「これ以上人雇うのメンドクセェし、ゲームの審査なんて機械学習でなんとかなるだろ」とか言って流れた映像と文章を元に合否出してるんでしょ?流石時代を先行く企業Valve、やることが最先端すぎるわ。
事例でも書いた通り個別に何が問題なのか質問しても無視し続けているし、この件に関してValveが正式に声明を出したことは一切ない。
初期のBANが発生した当時、ゲイブ・ニューウェルへのメールフォーラムがあるんだから直接連絡してみようという書き込みがあって、おそらく何人かはメールを送信していると思うが、その後ゲイブからメールの返信があったという報告は自分が確認した限り見かけない。
自分もSteamフレンドになっているValve社員にこの件に関してチャットを送ると決まって完全黙秘される。チャットを送ったのに気づいてないから・・・多分そうなんだ・・・と淡い期待で、先にSteamのバグ報告や機能についての質問をしてすぐ返答がくることを確認し確実にデスクにいることを把握した上で「審査が通らないので性描写のガイドラインを示してあげられませんか?」という文章を送るとその後返信が来なくなる。「私は担当者じゃないので知りません」とか「その質問には答えられません」とかすら来ない、完全黙秘。
一部の審査担当者が選り好みしているとも言われているけど、それにしても様々なValveの関係者に連絡を取ろうとしても黙秘と対応が決まっている、ある程度騒がれているのだから仮に数人の担当者の暴走だったのなら事実確認をするはずなのに未だに何の変化もない。
一応、Valveに買収されたCampo Santoのアーティストメンバーがワシントン州の州法に沿って審査していて、わいせつ罪は性描写のみならず行為そのものも対象となる、という説明はしているがあくまでもアーティスト担当で直接の責任者ではなく、それならば何故今でも問題になりそうな描写があるゲームをSteamで配信し続けていているのか、最初に「すべての表現を容認する」と声明を出した際にワシントン州の州法に沿って審査するとの説明を過去にも今でも、一社員の見解ではなく会社としての正式な声明として出すことはしていない。
未成年関係のみならず近親相姦や獣姦描写といったValveが首を縦に振ったところで他の要因でどうしてもストアでは取り扱うことが難しいコンテンツもあるはずだ。無理なものは無理、と素直に説明してある程度細かいガイドラインを示すのがプラットフォームとしての責任じゃないのか。そうすればSteamストアに登録する前に多少なりとも納得して諦めがつくし、Steamで販売するために労力と金を注いだというのに何も得るものが無いなんていうバカらしい結末を迎えることもなくなるだろう。