メガCD修理に挑戦・・・が失敗、コンデンサ以外で電源回路の故障原因

※追記:その後、これとは別に二台のメガCDを修理する

メガCDの修理にリベンジ・・・今度は成功 - 人生に疲れた男のblog

メガCD 起動時のロゴマークが化けて表示される・完全に表示されない場合の修理 - 人生に疲れた男のblog

 

ジャンクでメガCD(メガドライブの拡張機器)を買ったものの電源が入らないという人が身近にいたので、興味本位で修理を引き受けてみました。

ゲーム機修理のblogでもよく取り上げられている、よくあるコンデンサの経年劣化による電源不良でコンデンサの入れ替えだけで直るものだろうと高を括っていたものの、家に持ち帰り中を開けてびっくり。コンデンサ全体の8~9割近くの周りにおそらく液漏れと思われるベタツキが確認でき、何故か電源レギュレータ周りのコンデンサが3本、電源/オーディオ基板(通称サブボード)やCDドライブとカスタムIC/CPU/メモリなどが搭載されたメインボードを繋ぐ二本のフラットケーブル、CDドライブのディスクトレイを稼働させるベルト、更にはBIOS-ROMが抜き取られていたりとジャンクと言っても部品取りに使われた可能性が高いものだった。

 

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本体を開けた直後、メインボードの空いたROMソケットとフラットケーブル差込口

 

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サブボード写真。C25・C26・C27のコンデンサがそもそも無い。

 

そら、メインボードそのものに電源が供給されないんだから絶対電源は入らないし、BIOSが無いんだからブートもしないわ、と思ったがコンデンサを総入れ替えしてフラットケーブルやBIOS-ROMの代用品を取り付ければまだ直るんじゃと希望を取り戻して修理を開始。

アルコールを染み込ませた綿棒で基板を綺麗に拭き、フラットケーブルは1.25mmピッチのものを適当な大きさにカットして形成、BIOS-ROMは27C1024にバックアップで取っておいた別のメガCD1のBIOSを書き込んで差し込み、コンデンサもメインボード・コネクターボード・サブボードにあるものは電解・表面実装コンデンサを問わずすべて交換、CDドライブも新しいベルトを張って、後述するスイッチ用のトランジスタも交換。

 

 

結果は・・・直りませんでした。電源を入れても相変わらず画面は真っ黒なまま。基板をむき出しのままメインボード・サブボード・コネクタボードをメガドライブに差し込んで電源を入れてみると各ICには+5Vの電圧は供給されていて、CDドライブのピックアップを奥に移動させてから電源を入れると手前側まで移動しているので電源周りは問題ないと思われるが、液漏れしたコンデンサが基板を腐食させてたかICそのものがダメになっているっぽい。おそらく元の所有者も電源部分のコンデンサだけ交換してみて動くかやってみたものの、結局立ち上がらず取り付けたばかりのコンデンサをまた取り外したり、他の部品も別のメガCD補修用の部品としてストックしたのだろう。そう考えると納得がいく。

メガCDはネット上にセガで使われていたと思われる修理用のサービスマニュアルが流出していて、回路図がそのまま見れるようになっているので、基板の腐食だけなら回路図を見ながらテスターで通電しているか一つ一つ回路を確認していくのも手かもしれないけど、そこまでしても直る保証はないし、直ったとしてもまだCDドライブやオーディオ回路が正常かどうかすらもわからない状況ではくたびれもうけに終わる可能性があるのでやめておいた。

 

 

これだけじゃ意味のない記事になってしまうが、コンデンサの劣化以外で電源回路の故障要因になりそうなところを発見したので該当する人がいれば参考になるかもしれないので記載しておく。「Sega CD TR4」で検索すると海外掲示板で何件か報告があるものの日本語サイトでは具体例が上がってない故障例で、サブボードのDCジャック付近にあるTR4と基板に記載された緑色のトランジスタが故障して電源が入らないというもの。このトランジスタ、最悪の場合燃える。自分もテストでACアダプタを接続して通電していたら、微かに煙が立ち込めたので急いで電源を抜いて基板を見てみたらトランジスタの周りが焦げ茶色に変色していた。

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このトランジスタはPNP エピタキシャル形 ダーリントン接続 トランジスタ「2SB963-Z」というもので、メガドライブ本体から流れてきた+9~10Vの電源がTR3トランジスタのベースに流れてコレクタ-エミッタ間が通電状態となり、その手前に接続されたTR4ベースへの電流が弱まって今度はTR4コレクタ-エミッタ間が通電状態になってCDドライブへの12~13V供給とレギュレータを通して各ICに5Vを供給するようになっている。

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同じ型のトランジスタがすぐ入手できなかったので自分は秋月電子で売られていた「TTB1067B」というもので代用。使用して安全か、動作に支障がないか保証はできないのでお勧めはしないが、これでメガCDにACアダプタを差しただけではレギュレータやCDドライブ用の電源回路に電気が流れず、メガドライブ側のスイッチがオンになった時だけ電源が流れることまでは確認。

同じような特性のPNP ダーリントントランジスタでCEBの接続さえ間違えなければ使えるかもしれない。

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