Xbox 360 S、CPU/GPUにグリス塗り直し

10日程前に購入したXbox 360 Sだけど、今のところかなり気に入ったゲーム機になっている。初期型の頃に買っていたら間違いなくXbox Oneの時と同じように印象の悪いゲーム機にしかならなかっただろうけど、大きさ・故障率・発熱量・動作音がある程度改良されているスリム型でハード的な完成度が高く、HDDとUSBメモリどちらにもインストールが可能になっていてロード時間や動作音もDVDから直接起動するより軽減可能で、またこの当時はPCで日本語版どころかそもそもPC版すらなく360オンリーのタイトルも結構あったので、興味はあったけど遊べなかったゲームや中古屋で安くたたき売りされている未プレイのゲームをこの機会に遊ぶことができている。

ただ初期型よりも改良されているとはいえ、発熱量や動作音は全く問題なしとは言えず、長時間プレイしているとファンの回転数が結構上がって、ファン真上にある排気口のあたりもかなり熱くなってくる。

排気口を覗いたかぎりでは特に埃も溜まっている様子もなかったが、製造日は2010年と7年前のもので熱伝導用のシリコングリスの劣化が心配で、使っているグリスもそこまで熱伝導率の高いものではない通常のものだろうから念のため分解して新しいグリスを塗りなおしてみた。

 

分解方法はiFixitの記事が参考になるが、作業的に楽だった自分のやった手順を箇条書きで書いていく。ヒートシンクを外すまでに全分解が必要で、壊してしまう可能性もあり分解難易度も高いと思われるので、レッドリングが発生するとかすぐ熱暴走してしまうとかしない限り、普通はやらなくていい。

  • 上部のスリット部分は左右どちらかの端にマイナスドライバーを差し込んでてこの原理で持ち上げるだけで簡単に外れる。下側のスリット部分はHDDカバー側を先に外して、そこから手で持ち上げて外すだけ。(iFixitの記事、手順1~4・12~17)

  • スリット部分下のベゼルは、懐中電灯などで開いている穴の中を照らしてみればわかるが爪で固定されていて、上部は6箇所ある穴の中にある爪にマイナスドライバーを差し込んで、内側に向かって広げれば外れていく。HDD側のベゼルは穴が4箇所のみだが、中央片方側のみ持ち上げてからでないと爪が見えないようになっていて、他の爪の部分を外してからある程度持ち上げて爪の端にマイナスドライバーを差し込んで広げる。(手順5~11・18~23)

  • 上部に無線LANアダプタの基板があるので、T10トルクスドライバーでネジを外してから引き抜く。(手順38)

  • 無線LANアダプタがあった場所の近くに、本体ケースの上側下側を繋げている爪が二か所あるので広げて取り外す。iFixitの記事では反対側も外すために押さえを差し込んでいるけど、自分がやったときは爪が完全に外れた段階で押さえが無くても問題ないくらい上下ケースの位置がずれてくれた。(手順25・26)

  • 反対側にあるHDDやACアダプタ差し込み口側の本体ケースの爪も二か所外す。取り外したベゼル側から見える一か所の爪をマイナスドライバーなどで広げる。「Xbox 360」と書かれた封印シールを外して、iFixitの記事ではここから広げて奥側にあるもう一か所を外しているけど、実は製造国や特許番号の書かれたシールに小さい穴をあけてそこを押すだけでも外すことが可能。(手順27~29)

参考画像

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  • シールド板側のケースが外れたら、シールドと反対側のケースを取り付けているネジをT10トルクスドライバーで外していく。1か所は丸いXbox360シールの下に隠れている(場所はiFixitの記事の手順40参照)。ケースを外す際は前面パネルも一緒に外せるが、シールド板側を下に向けていないとDVDドライブが落下する恐れがあるのと、まだフラットケーブルが差し込まれたままなので切断しないように完全には外さないにしておく。
  • 前面パネルとRFモジュールが接続されているフラットケーブルを取り外す。青い半透明シートの押さえ部分をコネクタから外れるように持ち上げておいて、薄茶色のラッチ部分にある左右の出っ張りをゆっくり差し込み口とは反対方向に交互に押していって外す。左右とも2mm程度動けばフラットケーブルが外れる(手順35)。これで前面パネルもケースも完全に取り外れる。
  • RFモジュールは2箇所あるネジをT8トルクスドライバーで外して引き抜く(手順36・37)
  • DVDドライブを取り外せばマザーボードが見えてくる(手順42・43)。

ここまで分解した写真

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  • CPUクーラーのガード、HDDブラケットを取り外す。シールド板側・背面側・SATA&電源コネクタ部分の各ネジをT10トルクスドライバーで外す(手順45~48)

  • CPUクーラーの取り外し。ヒートシンクとファンを固定しているネジを通常のプラスドライバーで外して、ファンのケーブルを抜くのみ(手順49・50)

  • マザーボードの取り外し。シールド板に残っているネジをT10トルクスドライバーで全部外して、DVDドライブがあった場所の前面下にあるブラケットを外し、ヒートシンクを持って背面コネクタ類が下になるようにしてマザーボードを持ち上げる(手順51~53)

  • ヒートシンク取り外し。ベゼル・フラットケーブル以外の360分解での難所。X字バックプレートとヒートシンクを固定しているフック部分に細いドライバを差し込んでてこの原理で開くしかないが、かなり固くてドライバが折れたり勢い余ってマザーボードを傷つける可能性があるし、外れる際もバックプレートが跳ねてしまう。1か所外れたら反対方向のフックも外し、残り2か所どちらかを外せれば後は手で抜くことができる(手順54~58)

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外したヒートシンクマザーボードヒートスプレッダ全体に薄くまんべんなく塗られていて、不安だった硬化は結局していなかった。そこまで発熱量もなさそうだしヒートシンク自体無かったサウスブリッジだけど、念のためGPD WINの放熱対策で買っておいた放熱フィルムの「クールスタッフ」を張り付けておいた。

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グリスを綺麗にふき取ったXbox 360 Sの心臓部「XCGPU」。CPUとGPUが90nmもしくは65nmのプロセルルールで別々のダイで実装されていた初期型や中期型のXbox 360とは違い、45nmプロセスルールでの製造となりCPUとGPUが一つのダイで統合(EDRAM部分のみ別のダイでワンパッケージング)され、コストの削減と低消費電力に貢献しているチップ。

 

とりあえず、CPUグリスの定番と言える熱伝導率 9.0W/m・Kの「AS-05」を使用して塗り直し。XCGPUのヒートスプレッダにまんべんなく塗って、その上からヒートシンクを力強く押し付けてグリスを押しつぶすやり方で、自分がグリスを塗る際はこうやっている。ヒートシンクを持ち上げようとしてもマザーボードまで一緒に持ち上がるようになっていれば完全に空気が抜けて密着している状態になっているのが確実にわかるし、薄く塗るのが苦手な自分には楽なやり方。外す際に苦労することがあるのが最大の難点だけど。

完全にファンの回転が消えるわけではなく標準時でもそれなりに動作音が(今使っているPCと比べて)聞こえてくるので仕方ないが、標準のグリスだった時に比べたら回転数が上がる比率は下がったし、グリスが劣化していないか心配しなくても済むようになったのでまあよいかな。