プレーヤーの方が地獄行き・・・Ride to Hell: Retribution

皆さん、想像してほしい。オープンワールド要素を一切排除して、道が一本道となったGTA4を。そんなGTA4をプレイしてみたいと思いますか?俺だったらプレイしたくない。だが、そんなゲームがこの世には実在して、そして俺は実際に最後までプレイしてしまった。今回ご紹介するゲームはそう、あのMetascore 16点(PC版)という快挙を成し遂げたゲーム「Ride to Hell: Retribution」
Steamストアページ - Ride to Hell: Retribution


ストーリーはバイカーのJake Conwayが弟を殺害したギャングThe Devil's Handに復讐を成し遂げるという話。
本来ならオープンワールドゲームとして開発していたもの色々とゴタゴタした挙句、オープンワールド要素は一切排除、ミッションは一本道のマップを銃撃戦・格闘・バイクで爆走、ミッションが終了したら拠点となる町に戻り、倒した敵が落とした金で武器やコンボの習得、バイクの改造をしてまたミッションといった流れとなっている。

まずバイクシーンは、本当に障害物があるのみの一本道を走行していくだけの障害物避けゲー。ミッションによっては制限時間内までに目的地に到着したり相手に逃げられない様に追跡するといった物が用意されており、中盤以降のバイクミッションは一度でも障害物に引っかかったらクリア不可能なシビアな時間設定となってくる。

時折左右から敵車が現れて妨害してくるが、その場合は運転が自動となり銃撃戦になるかボタン連打によるQTEシーンになる。だが、銃撃戦はともかくとしてボタン連打のQTEは本当に表示されたボタンを連打してるだけで(違うボタンを押してもペナルティなし)恐ろしく単調で、本来なら「走るだけ」っていう単調さを解消するために用意されている要素が逆にテンポの悪さと単調さを際立たせてしまっている

格闘シーンは完全に機能していない出来。同時に出てくる敵が3〜4人のバットマン アーカムシリーズといった感じの上に、ボタン連打してるだけでクリアできてしまう上に、モーションがぎこちないし、ヒット音がゴッ、ゴッといった鳴っているのか鳴っていないんだがよく分からない音で爽快感は皆無。
バットマン アーカムシリーズも基本的にはボタン連打ゲーではあるが、後半になると敵の種類が増えていって攻略方法が変わっていき単調にならない様にしているし、単純操作ながら多彩なモーションを繰り出せるカッコ良さで爽快感を出しているのに、このゲームには一切無い、敵の種類が変わらないので最初の格闘シーンから最後の格闘シーンまでやる事が何一つ変わらず、主人公が痙攣を起こしたかのような挙動不審な動きをしてゴッゴッという音だけが虚しく響き渡るだけ。打撃武器による攻撃も用意されているが、素手の時と全く攻撃力が変わらず、相変わらずドンドンという迫力の無い音を響かせる。しかも驚くのはナイフやマイナスドライバーといった刺す武器でさえドンドンという同じ打撃音が鳴るのである。

一定数敵を倒すと1ボタンでQTEシーンになって一撃で敵を倒せるシステムもあるが、バイクシーンでのQTEのそれと同じく使うと余計テンポが悪くなるという始末。

銃撃戦はこのゲームの中でなんとかゲームとして機能している点。古典的なカバーアクションのあるTPSで、敵の胴体に弾を当ててもなかなか死なないので確実にヘッドショットを決めていかなきゃいけないようなバランスではあるが、その分狙って撃つというシューティングとしても面白さが出ているし、ヘッドショット決めた際はスローモーションになって派手に血飛沫が上がるのでヘッドショットが決まったという実感がプレーヤーに分かりやすく伝わるようになっていて爽快感がある。

まあ、カバーで隠れている敵が頭がはみ出していて丸見えになってたり、本来なら格闘シーンを想定した敵の為にこちらが銃を構えているのに丸腰で向かってくる敵がいたり逆に銃を持ったまま棒立ちといった敵など、AI周りがお粗末な箇所が目立つんですけど。


このゲームの問題点は上記のような欠点というのもあるけど、元々オープンワールドを想定していて作っていたものを無理やり一本道にしたせいで、意味不明な作りが目立ってしまっているのも大きい。


一部マップでは自由に探索できそうな町を歩いて情報を集めるシーンもあるのだが、行き交う車は主人公が道路に飛び出してもかまわず発進し続け主人公を轢き殺し、行き交う人々も撃っても悲鳴と血飛沫こそ出るものの死なず、通れそうな道に進もうとすると

「Wrong way, turn back now.」と表示されて強制的に元の道に戻される仕様。結局一本道だという絶望的な事実をプレーヤーに見せつけ、しかも一見正解と思いそうな広い道に限ってこれが出てくるので、余計にゴールまで迷いやすいという始末。



道中には、言い争いをしている男女がいるのだが、男を殺して女を助けた瞬間・・・



何の説明もなくいきなりセックスシーンになるのである。しかも服は脱がず、喘ぎ声とかも一切なく盛り上がらない微妙な音楽が流れるだけ。行為が終わった瞬間、何事もなかったかのように元のマップに戻される。初めてこのイベントを見た時は、俺の方が頭がおかしくなったのかと思ったオープンワールドゲームでよくあるサイドクエストのような物を作りたかったんだろうが、中途半端な報酬のシーンだけしか制作することが出来ず、導入部分と完了部分が完全に抜け落ちた状態で収録したのだろう。


ムービーシーンではそこそこクオリティのあるストリッパーが登場するのだが、何故にこのキャラでセックスシーンを見せてくれない!前代未聞の着衣セックスなんて見せられるのはご褒美じゃなくて罰ゲームだ!


基本的にはミッション終了時に戻れる町で商人から武器の購入や麻薬の売却を行うのだが、

時折ミッション中のマップにもこの商人たちが立っていてここでも行えるようになっているものの、ミッション最中なので金も麻薬も大して集まっていない状態で全く使う機会はないし、全ミッションで出てくる訳じゃなく一、二か所で出てくるだけ。しかも、出てくる箇所に限って新しい武器が欲しいとかいった特別な場面でも何でもない場面。オープンワールドで想定していたマップの一部をそのままミッションマップとして持ってきただけで、設置していた商人などは消さずに残してしまっているのでこんな事になっているのだろう。



麻薬の売却にしても意味不明なシステムで、麻薬は売って金に換える以外に使用用途が無いのに、敵は麻薬と一緒に金も落とすので、わざわざ麻薬なんてアイテムを実装しなくても良かったんじゃないかと思うし、金の使い道も武器や技の取得以外に使い道がないのに、武器の購入場所と麻薬の売却場所がちょっと離れているのでいちいち移動して麻薬を売却してから武器を購入するっていう手順をミッションが終わる度に繰り返さないといけないのでかなり面倒。そもそも、ミッション完了で戻ってくる町のスタート地点と武器の購入場所が走って20〜30秒以上かかる位置にあるってのも大問題なんだけど。プレーヤーが実際に操作してデータをロードするロード時間みたいなもんである。

更に麻薬も何故か種類が別れているけど、特に別れているから何か管理するってわけでもないので全売却するだけでいい。最初っから全売却のボタンだけ用意しとけよって話。もしかしたら、GTAチャイナタウンウォーズの麻薬の売り買いのように転売して儲けるシステムを実装しようとしていたのかもしれないが、実質麻薬の売人が一か所しかないので全く無意味となってしまっている。


究め付けだったのがバグの多さ。いきなり何もない空間に瞬間移動して身動きが取れなくなったり、突然エイムが出来なくなったり、ドアを開けた瞬間主人公が逆さまになって歩き始めたりと異常な現象はクリアまでに何度も経験した。



オープンワールドゲームっていうのは、あくまでもオープンワールドって要素で個々の弱い部分を繋ぎ合わせて成り立っているもので、それを取り除いてしまうと完全にゲームとして機能しなくなるということをまざまざと思い知らさせる一品。

Ride to Hell Retribution (輸入版:北米)

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