そして伝説となったゲーム・・・「007 Legends」

Steamでの発売からわずか2か月後、発売元のアクティビジョンがゲーム化権利を更新しなかったのか突如ストアから姿を消した「007 Legends」。タイトル通りSteam界の「伝説」となってしまった作品である。
だが、まだ入手できなくなったわけじゃない。Steamworksタイトルなのでパッケージ版を買ってキーをSteamに登録すればいいだけの話なのである。そんなわけで今回はEU版を購入してみました。

・・・なんなんだこのダサいっていうかパチモノ臭いパッケは・・・。映画のワンシーンからそのままひっぱってきただけの写真と何を見ているのかよく分からないダニエル、まったくもって統一感が感じられない。アジアの怪しいゲーム屋の店頭に並んでいても全く違和感がないレベルだ。
ネット上で初めてこれを見たときは「仮の物か、もしくは一般人による非公式デザインだよね?」と信じていたが、冗談抜きでこれが商用で出した公式デザインなんですな。






ゲームは映画「スカイフォール」でボンドが狙撃された後、意識を失う直前に過去の任務を思い出していくというストーリー。「ゴールドフィンガー」「女王陛下の007」「ダイアナザーデイ」「消されたライセンス」「ムーンレイカー」を舞台に、時代設定が現代に変更されておりボンド役はダニエル・クレイグ、ガジェットもスマートフォンを使用するようになっている。ちなみに「スカイフォール」のシナリオもあるにはあるのだが、詳しくは後で書く。
ゲームシステムは今時のFPS。体力は自動回復システムで、同時に持てる武器はハンドガン・ライフル系2丁・グレネードの4種類で、違う銃を見つけたら持っていた武器を捨てないと新しい武器を持てない。任務を達成したり武器を使用していくと経験値が貯まっていき、能力や武器のカスタマイズアイテムをアンロックしていくことができる。

ちなみに一度ゲームをクリアするとクラシックモードという体力ゲージと防弾チョッキゲージが分かれて表示されて有限性(道中に回復アイテムが拾える)になる64版ゴールデンアイっぽいモードも用意されている。
基本的に敵をバカバカ撃ちながら進んでいけばいいんだが、一部の箇所ではステルスを強要される(警報を鳴らされると即ゲームオーバー)シーンも存在したり、道中スマートフォンを利用して情報を撮影したりハッキング(パズル)をしたり一応スパイらしいミッションも用意されている。
元々PC版を発売する予定はなかったっぽく、マウスの視点移動がスティックを動かしているようなもどかしい動き方をして非常に操作しづらい。オプションから感度を若干上げれば多少まともにはなるけど、それでも多少引っ掛かりのようなものを感じる。
マウス操作がスティック動かしたような動きをするのならいっそコントローラでプレイしようかと思うかもしれないが、何故かこのゲームはコンソールからのベタ移植にも関わらずコントローラ非対応なので結局不自由なマウスで操作するしかない(正確には、Xbox360コントローラ刺してれば操作可能なんだけど、認識したり認識しなかったりスティック感度がおかしいことになっているのでまともに操作不可能)。

ボス戦はこれまた流行りなQTEによるボタンを押していくだけの格闘戦。このシーンの出来がとんでもなく最悪な作りで最初のボスから最後のボスまで全く同じ攻略・演出。ただでさえ単調なゲーム展開になるQTEで、相手が殴ってくる→避けて殴り返す→相手が殴ってくる→・・・の繰り返しだけで子供の喧嘩のような格闘シーンを毎回見せられるのは飽き飽きしてくる。また、PC版だとこのQTEで押さなきゃらならないボタンがTUFGHJキーとWASDキーから離れた配置になってしまうので、QTEが始まるタイミングを見計らって指の位置を変えておかなくてはならない。




映画「スカイフォール」公開に合わせて適当に007ゲームを作ろうって目的の作品なんだろうが、スマートフォンやところどころ現代的なガジェットは登場するのに、舞台や登場人物の服装や髪形が60〜70年代のスタイルだったりと、古い007シリーズの舞台を無理やり現代に引っ張ってきてしまっているため非常に違和感を感じる。
クレイグボンドはどちらかというとリアル路線だというのに、「ムーンレイカー」のような宇宙ステーションやレーザー銃が出たりする007シリーズの中でも更に異色なSF物を舞台に選んでくるとは、制作者たちはいったい何を考えていたんだ。
どのシナリオも映画の盛り上がってくる場面だけを切り取ってゲーム化しただけで展開がかなり強引で、設定も中途半端に現代に映ってしまっているため話が若干変わっており、原作ゲーとしても雰囲気を全く味わえない残念な代物になっている。
更にエンディングらしいエンディングは存在せず、突如「スカイフォールシナリオのDLCが後日ダウンロードできる」という表示とともにスタッフロールが流れるだけ。
しかもこのスカイフォールDLCPS3版では配信されたもののなんとPC版では配信されておらず、Steamストアページが消えアクティビジョンのサポートも期待できない現状では今後出てくる可能性はかなり低い状態となってしまっている。
パッケージにも「Skyfall Mission Included Inside」と記載されているのに、遊べないとはとんでもない詐欺である。



グラフィック設定は解像度、フルスクリーン/ウィンドウ表示の切り替え、明るさの3つのみ。解像度が変えられるといっても出力解像度だけが変わるようで内部解像度が変わらず、解像度を変更しても場所によってジャギーが目立ったり全体的にボケて表示されていたりとPC版ダークソウルの悪夢再来である。向こうは解像度変更DLLが出回ったからまだいいものの、こちらは不人気作ということもあって変更用MODなどは登場していない。

James Bond: 007 Legends (PC/輸入版)

James Bond: 007 Legends (PC/輸入版)

James Bond 007 Legends (輸入版:北米)

James Bond 007 Legends (輸入版:北米)