Hitman : Absolution クリア


つまらなくはないんだけど、ヒットマンというゲームの方向性を完全に見失っちゃっていて失敗作と化しちゃった作品。
結論から言っちゃえば、本編よりも無料で配布されているオマケゲームのスナイパー チャレンジの方が圧倒的にヒットマンらしいし、こっちをプレイしていた方が遥かに楽しい。
前作のBlood Moneyのような自由に動き回れるマップ内で誰にも悟られないようにターゲットを暗殺というシステムからがらりと変わり、ルートは何通りか用意されているものの区切られた一本道のマップを進んでいきゴールまで到達することが目標のステージが多くなっている。
たまに中華街、ストリート、裁判所、マンションといった自由に動き回れる今まで通りのステージも用意されているにはされているんだけど、従来のシリーズに比べて圧倒的に狭くなり、また初期武器がデフォルトの武器で固定されていて後はマップ上に落ちているもので対処しないといけないので、殆ど開発者が想定したような進み方や殺し方しかできないことが多い。もしかしたら、自分が発見していないやり方もあるかもしれないが、それにしても旧作に比べると思いつく暗殺のバリエーションの無さが目立つ。
そのうえ、ストーリー上重要なターゲットを暗殺する際はムービーが入って勝手に相手を殺したり、スプリンターセル:コンヴィクションやレッドデッドシリーズのようなスローモーションになって狙い打ちたいところを定める銃撃戦を強制されてしまい、自分がターゲットの人生最期の時を演出するというシリーズで重要な要素が完全に削られている。
E3などのイベント時で「今までのヒットマンの雰囲気を残しています」って感じにデモンストレーションしていたステージくらいしかヒットマンらしくなってないとか詐欺だろこれ・・・。



変装システムも大幅な弱体化を遂げている。従来ならバーコード禿が堂々と敵の目の前を素通りしていくという怪しいゲームだったのだが、今作は敵の目の前を変装して通る際は顔を隠してゲージを消費しないと見つかってしまうシステムになっている。
しかも、このゲージが任務目標を達成するか敵を倒したり死体を隠したりしないと回復しないようになっており、任務目標はたまにしか出てこないので頻繁に変装を使おうと思ったら敵をバシバシ倒していかないといけない。殺戮したいのか敵をやり過ごしたいのかどちらかよく分からないゲームデザインである。



道中、覆面をした敵もいるのでこいつに変装すれば顔を隠せてバレないかと思いきや、

なんと服装だけ変更して覆面は被らないのである。それ着替える意味が全くないだろ。




それでも仮面をつけた特定の敵の服装に着替えればちゃんと仮面も被ってはくれるのだが、こんな完璧に誰だか分からないような見た目にも関わらず何故か敵の目の前を通る際は顔を隠さないとバレるのである。仮面をつけた上から更に顔を隠すって仮面とは何だったのか。敵は透視能力でも兼ね備えているとでもいうのか?



意味不明な変装システムを使うのを辞めてこそこそとステルスで進むにしたって、物陰から物陰へクルクル回転しながら移動したり、敵の目の前に物を投げてその方向に誘導したりしていくんだが、どう考えても不審者が目の前でこそこそ動き回っていたり、後ろや横から物が飛んでくる方が、見覚えのない人間が素通りしていく様よりも奇妙な光景だろうが!
何故、敵は仮面の男の正体を見破れるほどの超能力者なのに目の前で起こっているシュールな光景は何の疑問も思わないのだろうか?


また、自分で暗殺対象を指定してステージが作れるというコントラクトモードは無くてもいいレベルの駄作。
ただ単にマップを歩いている人間をマークして殺すだけだし、上記の通りの問題を抱えたゲームシステムはそのままで、こちらは初期武器こそ選べるもののそれでも一つしか選べないという自由度の無さは相変わらず。
実際プレイしている人間は極端に少なく、公開されているコントラクトステージも数えられるほどしかないし、プレイしてみてもどれも似たり寄ったりで本編をプレイしてこれを遊ぼうという気にはならない。

ヒットマン アブソリューション 【CEROレーティング「Z」】

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