興味本位で修理を引き受けたものの部品取りに使われていたジャンク品ということで修理に失敗したメガCDの件だけど、このまま修理できないのもなんか悔しいので自分で別のジャンク品で売られているメガCDを買ってみて修理できるかどうか再挑戦してみた。
購入したメガCD。メガドライブとの固定プレートとネジのみの付属でACアダプタや箱などはなし。メガドライブ本体(型番VA1)もついてきたのだが、こちらは電源が入ってもカートリッジのゲームすら起動しなかった。
所有しているS端子映像出力&ステレオ音声出力に改造しているメガドライブと合体してみた。このメガドライブも電源入れて10分~20分しないと映像が安定してくれなくなってきてるのでコンデンサの交換が必要そう。
このまま電源を入れてみて動くかどうか確認してもいいんだけど、その前に分解して中がどうなっているか確認。
前に修理で預かったメガCDはBIOS ROMやフラットケーブルが抜かれていたり、コンデンサが取り外されていて修理してみたものの動かなかったから部品だけ取って売り払ったものの可能性があったが、今回買ってみたメガCDは分解された様子もなく、完全に部品が整っている状態だった。
ただし、電源が入らないという故障事例でよくある電源レギュレータ周りの三つのコンデンサの足元から液が漏れていてレギュレータの足が緑色に変色していたり、メインボードの表面実装コンデンサの周りも茶色く変色、CDドライブのフロントローティングを稼働させるベルトが硬化していてCDの取り出しが行えそうになっていない。CDドライブには「ヘビーノヴァ」とかいうゲームのディスクが残っていたが、電源が入らなくなったかドライブから取り出せなくてそのままの状態で処分したのだろう。
仮に現時点で電源が入ってくれても、見ただけでコンデンサの液漏れを起こしていることがわかり、漏れた液で基板やICを腐食させて修理自体困難になっていくと思われるので、動こうが動かまいが関係なく交換作業に取り掛かった。
修理方法は他のblogでかなり詳細に記載されているので改めてここで記述はしない。
コンデンサをすべて交換した接続ボード、メインボード、サブボード
メガCDには複数のリビジョンがあるようで、接続ボードが汎用IC9個と電解コンデンサ1個で構成・カスタムIC1個と3個・そもそもICやコンデンサがない、水晶発振器が別基板の二階建てか直付けか、BIOS ROMがソケット式か否かといろいろある模様。
メガドライブとの接続ボード、メインボード、電源やオーディオ回路のあるサブボードにある電解コンデンサが19か所、表面実装コンデンサが12か所と数は多いが、前回の修理でメガCDのコンデンサ交換の要領は掴んだので全てのコンデンサを取り外すのに1時間、新しいコンデンサを半田付けするのも2~3時間程度で済んだ。
アルコールで変色した基板をできる限り綺麗に清掃、コンデンサを取り外して余分な半田を除去したあとまたアルコール洗浄、コンデンサの足を固定するための少量のハンダをまた盛り直してコンデンサを付け直していく。
表面実装コンデンサは例によって液漏れしているようで半田を溶かす際に独特の薬品臭が立ち込めてきたが、基板への腐食自体は進んでいなかったのか、半田ごてを当ててもランドが剥がれ落ちて新しいハンダを盛り直しにくくなったり断線した状態になるということも発生しなかったので、その点でも腐食が進んでいてランドが何か所か剥がれ落ちてしまった前回のジャンク品よりも楽だった。電解コンデンサは足元をニッパーで切ってコンデンサ本体を取り払った後ハンダを溶かしながら残った足をこてで押してスルーホールから押し出していき、表面実装コンデンサは片方の足をこてで温めてピンセットでコンデンサを反対側に押し倒して引きはがしていくという方法を取ってみたら効率よく引きはがすことができた。
CDドライブもベルトを交換したのはもちろん、ピックアップユニットを稼働させるギアやレールにタミヤ セラミックグリスをよく塗って滑りをよくなるようにしてみた。CDドライブのコンデンサは見た目的には問題なさそうだったので交換してないが、ピックアップユニットやフロントローディングの位置を検出する金属板スイッチが劣化でスイッチが押されず、無理にギアを稼働させて異音が鳴り可動部を痛めるという故障もあるようなのでここもいずれかは分解して接点の清掃や接点復活材を塗っておく必要が出てくるかもしれない。
コンデンサとベルトの交換、可動部へのグリスアップ、内部の清掃を済んだら元通りに組み立て直し、メガドライブと合体させて電源を投入して実際に動いてくれるかどうかだけ。
果たして結果は・・・
うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
イヤホンジャックケーブルやRCA→イヤホンジャックケーブルの用意を忘れてメガドライブ本体との音声ミキシングが行えるか(メガCD1はメガドライブ本体側の音声を鳴らすのにイヤホンジャックで接続しないといけない)は確認できていないが、メガCDのロゴマークが回転する画面でメガCD側から流れるPCM音源によるBGMは問題なくなってくれるし、CDドライブの開閉自体もスムーズに行え音楽CDも鳴ってくれることを確認。
メガCD側でミキシングが行えなくてもメガCD自体のPCM・CD-DAは無事だし、別にミキサー機器を用意するなりすればいいだろう。
メガCDのロゴマークが正常に表示、ドライブの開閉、音楽CDの再生、内蔵バッテリバックアップの初期化を行って次は実ゲームが起動するかテスト
問題なくオープニングの再生、ゲーム開始直後に出たフィールドで戦闘、主人公ヒイロの家でゲームのセーブまで行えることを確認。
オープニングの再生、あたるの家でラムとの会話を終わらせてセーブを行えることを確認。
あと前回の修理でBIOS ROMが無かったので用意した27C1024に焼きこんだリージョンフリー仕様のBIOSが、修理自体が行えず使わないまま手元に残っていたので、オリジナルのBIOSと交換してみた。といっても北米版Sega CDのソフトなんか手元にないんだけど、Homebrewソフトで「BAD APPLE」をメガCDで再生するISOがネットに転がっていて、これがSega CD用に作られているもので本来なら日本版メガCDでは再生できないはずなのでこれで動作確認。
通常のメガCDソフトと同様に起動し、映像・音声も最後まで途切れることなく再生されることを確認。
なお、メガCDはメガドライブ本体とは別にACアダプタ(SA-160A)を用意しなければならず、そのACアダプタもメガドライブと同じ大きなものを用意しなければならないという、コンセントに優しくなさすぎる仕様でこのあたりもメガCDのダメダメな部分となっているが、メガドライブとメガCDの両方補えるほどの電流を供給(5V 2.0A)できるACアダプタと二股分岐させるケーブルを用意すればACアダプタ1個で済ますことができる。
お勧めは「POWER-ALL PA-9S」というACアダプタ
本来ならオーディオ機器用のACアダプタなのだが純正ACアダプタと同じ外形5.5φΧ内径2.1φ・極性センターマイナスでそのまま繋げられるようになっていて、その手のできる限りノイズを避けたい用途向けなので純正ACアダプタよりも電源ノイズが少なく映像や音声に乗るノイズが軽減し、サイズも純正ACアダプタの3分の1程度、2.0A出力なので別に分岐ケーブルを用意すればこのACアダプタ1個でメガドライブ本体とメガCDの電源供給を補えるという、一石三鳥な代物。
価格はAmazonにおいて現時点で約2,700円程するがその値段分の価値は十分ある。1個500~1,000円でSA-160A ACアダプタを2個用意するより断然お得。
ACアダプタ1個で済ませるためのY字分岐ケーブルもPOWER-ALL純正品が一緒に売られているのだが、自分はコンデンサを買った秋月電子にある「2.1mmΦDC分岐ケーブル」を代わりに使用した。POWER-ALL純正品が約1,000円するが、秋月電子で売られている分岐ケーブルは150円と格安なものの、使用しても問題がないことを確認。
ここまで色々書いてきたけど、今からメガCDを買いたいという人がいたら絶対購入をおすすめしないかな。うん。
最初から点検済みのオーバーホール品を購入する、自分で半田付けや修理が行える、修理を請け負ってくれる人がいるとかいう人がいるなら話は別だけど、今売っているメガCDの中古品は例外なくコンデンサの液漏れやベルトが硬化していて修理が必須となる。そもそも液漏れによる腐食が進行していて修理自体が無理になっていることが珍しくない。仮に修理できたとしても、また故障する可能性だってある。CDドライブから時折聞こえてくるギギギというギアの音や、バッテリの容量抜けで消えるかもしれないセーブにビクビクするのは衛生的に良くないし気持ちよくゲームが遊べない。
改造や修理すること自体が趣味みたいな自分はいいけど、ただ純粋にゲームを遊びたい人とかはぶっちゃけエミュとかで遊んだほうがいい。本体だけじゃなく光学メディアも劣化するから今後実機で遊ぶにもイメージ化しておいたバックアップからCDを焼かないと遊べなくなる可能性があり、どうせイメージ化したり手間かかるならエミュで十分である。エミュは遅延が~とか言ってもアナログ映像を液晶で映すならどうしても遅延が発生するし、エミュじゃないFM音源本来の高音キンキンの音質だって高音質化改造を施したメガドライブじゃないと味わえないのでここでも手間がかかる。
無理して実機で遊ぶのはメリットがないと思っている。